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リコール修理が車検切れまでに間に合わない!改修しないで検査はパスできるか?

中古でクルマを購入してもリコール通知は届く

 自分のクルマにリコールが出たら、リコール改修(自動車メーカーによる改善措置)をしないと車検に通らないと思っていないだろうか? じつは、”ある特定のケース”を除いて車検とリコールは紐づけられていない。つまり、リコール作業をしていなくても車検を通すことはできる。それは何故なのだろうか。

 日本のリコール制度において、不具合の内容や箇所によって回収・修理の名称は3つに分かれている。「リコール」とは保安基準に適合していない、もしくは適合しなくなると予想される部位に対するもので、保安基準に規定されていない部位の回収・修理は「改善対策」、いずれにも該当しないものを「サービスキャンペーン」と呼んでいる。

リコールとは保安基準を満たさない状態

 つまり「リコール」対応していないと保安基準に適合していない状態であって、検査時点で保安基準を満たしているかを確認する車検を通らないと思われるが、そうとは限らない。多くのリコールは『保安基準に適合しなくなるおそれがある状態』において出されるものであって、問題が出ていない状態であれば保安基準をクリアしているわけだから車検は通ってしまう。

 そもそも車検というのは、次の車検までの安全を担保するものではなく、あくまで検査した当日の状態が保安基準を満たしていればパスしてしまう。仮に車検をとった翌日に電球が切れたとしても、それは車検で見落としたわけでもなければ、車検に問題があったわけでもない。

 あくまで検査した瞬間の状態でしかみていないといえる。ただし、ユーザーは予見できるトラブルについては車検で担保していると思っている部分もあり、ディーラー車検などではそうした期待に応えるべく予防措置的なパーツ交換を薦めているケースが多いようだ。

エアバックは未改修では車検を通せない

 それはさておき、冒頭で記した車検をパスできない「ある特定のケース」とは、どんなリコールのことだろうか。それは、数年前から世界的な問題になっているタカタ製エアバックの異常破裂に関するリコールだ。エアバックを膨らませるガス発生装置(インフレ―タ)の異常破裂により金属片が飛散するというリコールにおいては、その破裂による死者が確認されている不具合であり、早急な対応が求められている。そこで、このリコールについてだけは、未改修で異常破裂する危険性が高いクルマについては、車検を通さない措置を講じている。

 なお、リコールというのはこのように命にもかかわる問題であり、中古車で流通したとしても車検証のデータをもとにして、使用者宛にリコールの旨を記した郵便物が届くような仕組みになっている。新車からのオーナーだけに届くというものではない。このような通知が可能なのも、ナンバープレートの制度があるからといえる。余談だが、こうした制度がない家電などでは広告やDMなどによってリコールの発生を周知する必要がある。

 また、リコールについて「メーカーが悪いだけで、対応するのは面倒くさい」というオーナーもいるかもしれないが、道路運送車両法ではユーザーは自車が保安基準を満たしている状態を維持するよう点検・修理する義務がある。車検時にすべてのリコールをチェックするわけではないが、その通知を放っておくのは許されざることなのだ。

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