点検・整備費用の差で変わる車検費用
クルマを所有するうえでの義務であり、通過儀礼的なものが車検。もちろん車検をパスしないと公道でクルマに乗ることはできないので、必ず車検を受ける必要はあるのだが、問題は費用だ。
ご存知のように車検代は受ける場所によってもピンキリで、同車種でも数万円の差があることも珍しくはない。クルマ好きにとってはこの差がいかなるものか気にかかるばかり。どのような状況で差が生まれてくるのだろうか。
車検費用が高いイメージに入るのが、ディーラーでの車検だろう。そもそも車検代の内訳は大きく分けて、税金類と点検・整備費用のふたつ。前者は法定費用のために差はなく、価格に影響するのは後者のほうで、ディーラー車検はここが高くなっているわけだ。
最近は、ガソリンスタンドや量販店の車検も整備士が担当。整備保証を付けるなど、安さと質を両立させてきているのだが、ディーラー車検が闇雲に高いというわけでもない。実際、車検整備の基本料となる24カ月点検費用はそれほど高額ではないのだ。とはいえ、車検基本料金は排気量で変わるパターンが多いが、一律で金額を決めている民間車検も増えており、大排気量ほどオトクということも考えられる。
では、ディーラー車検でどこが高いかというと、まずは予防整備部分。予防整備とは、事前に余裕を見て交換したりするもので、たとえばブレーキパッドがいい例だ。どれぐらいの残量で交換するかだが、ディーラーでは余裕をもって、ある程度残っていても交換を推奨する。これは売り上げアップのためという見方もあるだろうが、正規ディーラーとしての信頼の問題がいちばん重要であり、次の車検までの安全も見据えてのこと。本来、車検とは検査時点の安全性を見るものとはいえ、その場だけでいいというのはディーラーの仕事ではない。
また、使う部品は基本的には純正品で、安価な社外品を使うことはない。また、きれいなピットや最新の測定機器、飲み物などのサービスなどを揃える必要があるため、それらのコストを反映すべく若干高くなっているわけだ。
予防整備の重要性と高い安心感
ゆえに長い目で見るとディーラー車検ならではの安心感は高いといえるだろう。最近は他メーカーのクルマも歓迎傾向にあったりするが、基本的には同じメーカーの車種を知り尽くした専門家だし、なにかあった場合の整備保証も付帯する。また、激安の車検を称えているところで問題になったこともある「整備・点検したと言っていたのに、実際はなにもしていなくて、車検を通しただけ」という心配もない。
ディーラーで安く抑えたいならば、事前に予算に限りがあることを伝えておき、見積りを元に必ず今回やらねばならないこと、次の整備に回すこと、などを精査・相談したうえで作業依頼を行なうこと。ある程度お任せでも、見積りは見ておいたほうがいい。また、不意に整備必要箇所が出てきた場合は、作業前に連絡してもらって判断するといいだろう。
近所の整備工場、ガソリンスタンドや量販店、車検専門店など、車検に力を入れているところは数多い。だからこそ作業内容を明記した見積りを取って比較することも手段のひとつ。そのうえで、ディーラーの優位性がどうあるのかを判断して、どこに車検をお願いするのか決めるといいだろう。