ナリは小粒でも走りは刺激的
最近では上級車種であっても小排気量で過給機を装着するダウンサイジングが主流となっており、一部を除いて大排気量の車両は減少の一途をたどっている。確かに排気量が小さければ税制面でも環境面でも良いのはわかっているが、やはり大排気量車ならではのロマンも少なからず存在するだろう。そこで今回は、コンパクトなボディに大排気量エンジンを搭載した刺激的な車両を紹介したい。
トヨタ ブレイドマスター
国産車でコンパクトボディに大排気量と言えば、このクルマを外すわけにはいかない。2007年8月に登場したブレイドマスターだ。そもそもベースとなったブレイドもオーリス(初代)をベースに2.4リッターエンジンを搭載したモデルであったが、さらに輪をかけて280馬力を発生する大排気量の3.5リッターV6エンジンを搭載。それが「ブレイドマスター」だった。
「ショート・プレミアム」がテーマとされていたが、ライバルは言うまでもなく同時期に販売されていた5代目フォルクスワーゲン ゴルフの3.2リッターV6エンジンを搭載した「R32」だろう。しかしゴルフは2008年に登場した6代目であっさり大排気量の搭載を止め、ブレイドマスターは行き場を失ってしまったのである。
日産 ブルーバード
日産のミドルクラスセダンとして長きに渡り愛されてきたブルーバード。基本的には2リッター以下のエンジンが搭載されるクルマであったが、9代目となるU13型のモデル途中(1993年8月)で2.4リッターエンジンを積んだ「2400SSS-Z(セダン)」と「2400スーパーツーリングZ」が追加された。
これは輸出仕様に設定があった直列4気筒のKA24DE型エンジンを搭載したもの。歴代の中で唯一の3ナンバー車となったが、ブルーバードを購入する層には全く響かなかったのか、販売台数はごくわずかだった。
レクサス IS F
2.5~3.5リッターエンジンを搭載するレクサスブランドのエントリーセダン。そんな初代レクサスISに、5リッターV8エンジンを押し込んで登場したのが「レクサス IS F」だった。当然、V8エンジンはスッキリと収まったわけでもなく、オーバーハングの延長や大きく盛り上がったボンネットなど、チューニングショップのデモカーばりの変更がなされた。
現行モデルには”F”は存在しないが、上級車種となるGS FやRC Fには同様の5リッターV8エンジンが搭載されており、現代でも変わらない高いパフォーマンスを見せている。
トヨタ ハイメディック
一般のユーザーが買える車種ではないため番外編扱いになるが、高規格救急自動車である初代ハイメディックもこのテーマに合致する一台。ベースは4代目ハイエースバンのスーパーロングハイルーフだが、心臓部には当時のセルシオに搭載されていた同じユニットの1UZ-FE型4リッターV8エンジンが鎮座していた。
ちなみに高規格救急車ではない通常の救急車も同様に4代目ハイエースがベースとなるが、こちらに大排気量エンジンは搭載されておらず、ベース車に準ずるエンジンとなっている。