ポイントランキングは7番手まで後退
アメリカのストックカーレース「NASCAR(ナスカー)」の3大カテゴリーの一つ「2019NASCAR Gander OutdoorsTruckシリーズ」は、開幕戦から3戦目までが毎週開催の3連戦で、そこから3週間のブランクを経て、第4戦マーティンズビル(ヴァージニア州)、第5戦テキサス(テキサス州)で再び2連戦となる。第4戦に出場した日本人オーナー・服部茂章氏率いる「HRE」チームは、レース後半のイエローコーション中に追突され、一気に順位を落とし16位でのフィニッシュとなった。
第4戦となるそのマーティンズビル・スピードウェイのコースを250周(レース距離131.5マイル=約210km)で争う「TrüNorth Global 250」は、#51トヨタ・タンドラに乗るカイル・ブッシュが優勝を収めた。マーティンズビルのコースは1周が1kmに満たない0.526マイル(846m)のショート・オーバル・コース。直線2本と2つのコーナーを組み合わせたようなレイアウト(そのためペーパークリップという愛称で呼ばれることが多い)で、コースのアウト側はアスファルト、コーナーのイン側だけコンクリートとなっている複合路面。そのバンク角度は12度とフラットに近い。マシンのセッティングは難しく、右フロントタイヤへの負荷が大きいのも特徴だ。
このシリーズの昨年のチャンピオンチーム「Hattori Racing Enterprises(HRE)」を率いる服部茂章氏は、NASCAR唯一の日本人オーナー。今季は、若手ドライバーAustin Hill(オースティン・ヒル)選手を起用。今シーズン、HREの16号車は開幕戦優勝、そして第2戦7位、第3戦リタイア(82周)という結果で、4戦目からの2連戦を迎えることとなった。今回は第2戦と同じく「United Rentals」のスポンサーカラーで「#16 UNITED RENTALS TOYOTA TUNDRA」が出場した。
レースは23日(土)の決勝を前に、22日(金)の午後から練習走行セッションがスタートした。1回目のセッションは20番手と大きく出遅れたようだが、2回目は5番手と、セットアップを仕上げていく。そして迎えた23日は、3ラウンド制のノックアウト予選が行われ、上位24台が通過する第1ラウンドが3番手、そして上位12台が通過する第2ラウンドが番手と順調にセッションを進め、最終的に予選9位を獲得した。
十分な戦闘力を持つマシンに仕上げられた「#16 UNITED RENTALS TOYOTA TUNDRA」は、午後2時、5列目インサイドのグリッドからスタートした。まず70周で行わる第1ステージで序盤から徐々に順位を上げていくことに成功し、一時5番手にまでポジションアップするなどトップ10内でのポジションをキープ。第1ステージは8位でフィニッシュし3ポイントを獲得し、続く第2ステージ(70周)では、あえてコースにステイすることをチョイスし、80周目の第2ステージスタート時は先頭に立って、レースをリードする。
118周目のイエローコーション下で、このレース初めてのピットイン。4本のタイヤ交換、給油、空気圧の調整を行って16号車を5番手でコースに戻す。この第2ステージもトップ10圏内の順位をキープし8番手で終了。ここでピットインし、左側2本のタイヤ交換と給油、マシンの調整を行い、11番手で最終ステージを迎えた。
この最終ステージではなかなかポジションを一気に上げることができず、一進一退を繰り返していた。レース最終盤、10番手で迎えた243周目に出されたイエローコーションの影響で残り3周となる248周目にリスタート。そして残り1周となったところで再び他車がスピンを喫しイエローコーション。そのイエロー下で16号車は他車に左リア部分をヒットされバランスを崩し、何とかクラッシュは避けたものの順位を一気に下げ16位でフィニッシュした。
ドライバーのヒル選手は、レース前にトレーニングで怪我をしていた。実は歩くのもままならない状態で、チームは替わりのドライバーまで用意していたが、痛み止めの注射を打って何とかレースを走り切った。服部代表も「最後に他車に押し出されるまで常に他のトップドライバーと上位争いをしていましたので、彼にとっては非常に良い経験になったと思います」とヒル選手を評価した。
残念ながらこの第4戦を終えランキングは7位にまで後退してしまった。次戦は、テキサスモータースピードウェイを舞台にした「Vankor 350」。24度ハイバンクの1.5マイル・クワッドオーバルのレースは現地時間3月29日(金)の夜9時(現地時間)に決勝となる。