赤錆を黒錆に転換して腐食を抑える
ここで注目なのは、板金作業前に防錆処理だけでなく、鉄板の深部に潜む錆の進行を抑えるために「錆転換剤」を使用していること。
錆転換とは、空気に触れることで腐食する赤錆を薬剤で黒錆に変えてしまうというもの。黒錆はフライパンの表面に使われ、黒い部分がまさにそれだ。錆の進行を抑えるため、古い水道管のクリーニング後の表面処理に使用されるなど、黒錆は意外に身近な存在なのだ。
「とりあえず錆を止めるだけ」と思われるかもしれないが、新品フェンダーに交換しても10〜20年で錆びる可能性は十分にある。錆を抑えることで5年後に再修理になってもコスト面での負担は少ない。
ちなみに板金で溶接などをすると、焼けた部分は鉄板の表面が出て錆びやすい状況になることも。些細なことかもしれないが、防錆処理をできない袋状のところの溶接は錆の温床となりやすい。
僅かな塗装の膨らみの下に潜む錆。見て見ぬ振りをしていると、その範囲はどんどん広がってしまう。
そうなる前に、手を施すことで修理コストを抑え、愛車を長く乗り続けることができるようになる。