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市販車ベースのスプリントレース「TCRジャパンシリーズ」開幕へ

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田了

自動車メーカーによるバトルも注目

 約20年ぶりの開催となる、ツーリングカーによるスプリントレース「2019 TCRジャパンシリーズ」が本格始動する。市販されている身近なクルマがレースマシンに仕立て上げられてのレースだけあって、クルマ好きに広く注目を集めている。3月26日には富士スピードウェイにおいて、初の公式テストが開催された。

 TCRレースはスーパーフォーミュラ(SF)のサポートレースでシリーズ内を転戦。ここ数年、世界中で人気が高まっているFIA-GT3(市販の2シーターまは2×2シーターのクーペがベース)のツーリングカー版ともいえる。TCR既定によれば市販車をベースとし、プライベートチーム、ドライバーにとっての入手可能なツーリングカーで、プロドライバーではなくレース好きジェントルマンによる新レースとなり、マシンのパフォーマンスは均一化。ドライバーの“腕”で勝負する新たなスプリントレースだ。

 使用するマシンは世界共通の新基準。TCR規定に則った概略では、2リッター以下のターボエンジンを搭載する、4ドアセダンまたは5ドアハッチバックの車両となる。具体的には、アウディRS3 LMS SEQやVWゴルフGTI TCR SEQのドイツ車と、これを迎え撃つ格好のホンダ・シビックTYPE R TCR。そして日本でのレースでは、アルファ・ロメオ ジュリエッタの参戦も決まっている。

 

 スーパー耐久シリーズで昨年から登場したFIA-GT3車両からフィットやデミオのプロダクション仕様までが混走するレースは、面白く根強いファンも少なくない。だが、今年から始まるTCRジャパンはTCR車両のみのクラスでしかもスプリント。さらにワクワクするレースシーンが展開されるはずだ。

 イメージ的には86/BRZレースや、少し前までのインテグラ・ワンメイクレースに近い。とはいえ、TCRのマシンは2リッターターボで最高出力は340馬力にもなるから、速さはひとクラスもふたクラスも上だ。

 実際、26日に行われた公式テストでは、全日本F3のチャンピオン最有力候補の宮田莉朋選手が1分48秒フラットで走り、パフォーマンスの高さを実証。ラップタイム的に比べてみるならワンメイクレースのホンダ・インテグラと、最速のワンメイクレースとして知られるポルシェ・カップの中間辺りになる。

 前述のように、TCRジャパンはジェントルマンドライバー向けのレース。宮田選手らには出場資格がないのだが、金曜日の公式練習には出走可能で、クルマのセット出しなどでプロのトップドライバーが走行することも可能という。つまりプロがクルマのセットアップを担当し、そのタイムを基準にジェントルマンドライバーが頑張ってタイムを詰めて行くパターンだ。

 なお、公式テストにはメディア向けの試乗会も実施。そこに参加していた、スーパー耐久に参戦し、SUPER GT”LEXUS TEAM LEMANS WAKO’S”の監督も務めるトップドライバー、脇阪寿一選手は「SUPER GTなどのレーシングマシンに比べると遥かに市販車に近いレベルだけれど、参加型モータースポーツの競技車両としてはとてもよくできていると思います」とクルマのポテンシャルには太鼓判を押していた。

 今シーズンは全5戦が予定されているが、全戦スーパーフォーミュラのサポートレースに組み込まれているので、レースファンの目に触れる機会も多くなるだろう。

 公式テストで本格始動の新生TCRジャパン。久々に誕生した全国を転戦するツーリングカーのスプリントレースに期待が高まっている。

2019 TCRジャパン シリーズ
第1戦  5/18~19 Super Formula Rd.2 AUTOPOLIS
第2戦  6/22~23 Super Formula Rd.3 SUGO
第3戦  7/13~14 Super Formula Rd.4 FUJI
第4戦  9/28~29 Super Formula Rd.6 OKAYAMA
第5戦 10/25~26 Super Formula Rd.7 SUZUKA
※TCRレースは金曜日~土曜日開催

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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