VW史上2モデル目となるメガヒット車
1974年3月29日、欧州でもっとも成功したクルマであるフォルクスワーゲン(VW)・Golf(ゴルフ)がドイツ・ヴォルフスブルクで生産を開始した。つまり、今年で45年目を迎えたことになる。VWは、歴代モデルの販売累計は3500万台を超えており、計算すると41秒ごとに新車のGolfが、世界中で途切れることなく注文され続けたことを発表した。
1974年に初代のVWゴルフが誕生した時、これほどまでの成功を予想する人はいなかっただろう。欧州の自動車界における最初のメガヒットモデルといえば、「ビートル」と呼ばれるVWタイプ1。リアエンジン・リアドライブのRR方式で、曲線を多用したデザインで知られているVWを代表するモデルだ。
1938年に生産が開始され、2003年までの累計生産台数は2152万台。これは基本設計を同じくする単一のモデルとして、未だ破られることのない不滅の大記録だろう。ちなみにこれ以前のメガヒットは当然フォードのモデルTで、累計で約1500万台をセールスしている。
コンパクト・ハッチバックの世界的ベンチマーク
ここからはゴルフの歴史を少し振り返りたい。初代ゴルフはビートルとは対照的に、平面と直線で構成されたコンパクトなハッチバックスタイル。すなわち2ボックスのシルエットを特徴とする。
さらに横置きエンジンのFF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式を採用していた。FFのパイオニアと言えば英国のミニなのだが、それをより確固たる世界の主流にまで成長させたのがゴルフであることに異論を唱える人はいないだろう。
その後、ゴルフはフルモデルチェンジを繰り返し、現行モデルは2012年にデビューした7世代目。時代に合わせて少しずつ大きくなってはいるが、FF方式をベースとしたCセグメントのハッチバックという、基本的な立ち位置は変わっていない。日本でも初代からずっと輸入・販売されており、多くのファンから愛され続けている世界的な名車の1台だ。
累計販売台数の世界チャンピオンはもちろんトヨタのカローラ。1966年デビューの日本の名車は累計生産が4000万台を突破。モデルチェンジサイクルが日本の方が短かったこともあり、現行で12代目を数えている。ただしカローラは初代から4代目(AE86の型式名で知られるレビン/トレノのみ5代目)まではFR(後輪駆動)だったが、5代目以降はFFベースに変更されている。
なお1974年は日本の自動車輸出台数がドイツを抜いた年でもあり、カローラがブランド別の生産台数で世界一の座を初めて獲得している。ゴルフは世界の自動車市場の大変革のさなかに生まれたクルマでもあるのだ。