70年代のヒーロートリオ
幕張メッセで4月7日(日曜日)まで開催されているオートモビルカウンシル2019は、老若男女を問わず、クルマ好きが心躍らせるクルマたちが勢ぞろいしている。中でも70年代のヒーロートリオともいえる、トヨタ・セリカLB(リフトバック)とマツダ・サバンナ(RX3)、そして日産フェアレディ240Z-Gだ。この3台はヴィンテージ宮田自動車のブースに展示されていたものだ。
セリカ リフトバック
リフトバックを略して通称“LB”と呼ばれていた。展示車は2T-G型1.6リッター直4DOHCエンジンを搭載。国内初のスペシャルティカーとして1970年に2ドアクーペ、センターピラーレスだったから2ドア・ハードトップ・クーペが登場し、73年に追加されたのがリフトバックだ。
セリカの最も大きな特徴は、フルチョイスシステム。これはエンジンやトランスミッション(変速機)、ボディカラーや内装・装備をリストの中から自由に選べるというもの。“順列組み合わせ”的に考えると膨大な数の仕様が可能だったが、2T-G型エンジン搭載車には適用されなかったが、結果的には大半のユーザーが指名買いした。
シルエット的にはキャビン後方がなだらかに下って行くファストバックだが、ここにハッチゲートを設けたことがニュースになった。2ドアハッチバックというべきか3ドアハッチバックというべきか意見が分かれるところだが、スタイリッシュだったからリフトバックが考えだされた、ようだ。
サバンナ
FC3S型サバンナRX-7まで3代続いた「サバンナ」の初代モデル。同社のコスモ、ルーチェ、ファミリア、カペラに続く、ロータリーエンジン搭載専用車だ。
1971年に登場した初代サバンナは、輸出名がRX-3ということと、レースに参加する車両名もサバンナRX-3だったため、ファンの間ではサバンナRX-3などと呼ばれていた。しかし、正式には「サバンナ」。ボディタイプは、5座の2ドアクーペとセダンの2タイプを用意し、後期型ではワゴンも追加された。
前期型は、ファミリア・ロータリーと同じ491cc×2ローターの10A型エンジンを搭載。サバンナもまた、レースで活躍したことで有名になった一台。当時のツーリングカーレースで王者として君臨していた日産C10型スカイラインGT-R(通称“箱スカ”)の50連勝記録を、サバンナは1971年の第6回富士ツーリストトロフィーレースで優勝して阻止したのである。王者のGT-Rに挑んでいく様は、判官贔屓の日本人気質に合っていたこともあり、人気は急上昇したのだ。
後期型では573cc×2ローターの12A型を搭載。1976年式の展示車は、12A型エンジンを搭載するフロントグリルとヘッドライト周りの意匠に手が加えられた後期モデル。なお、このエンジンはSA22型サバンナRX-7にも引き継がれていった。
フェアレディ240Z-G
オレンジのボディにブラックのオーバーフェンダーと、そのコントラストが印象的だったのがフェアレディ240Z-G。セリカLBがスポーティなGTカー。サバンナRX-3がスポーティなツーリングカーなら、ロングノーズ+ショートデッキの2シーターのフェアレディZは、パッケージ的にもスポーツカーらしさが際立っている。
フェアレディZが登場したのは1969年のこと。国内や海外、特に北米で大ヒットとなり、彼の地ではダッツン・ジーカー(Datsun Z)として親しまれ多くのファンを生むことになるのである。国内では、L20型2リッター直6SOHCエンジンのみだったが、C10型スカイラインGT-Rと同じS20型2リッター直DOHC4バルブエンジンを搭載したZ432が誕生。レースでも活躍していたが、やがて輸出仕様に設定され、海外ではダッツン240ジー(Datsun 240 Z)と呼ばれていたL24型2.4リッター直6SOHCエンジンを搭載したフェアレディ240Zを日本市場にも追加。
今回、展示されていたのはシリーズでもトップモデルの240Z-G。これはフロントにバンパー一体式のノーズコーンを装着。さらに未塗装の樹脂製オーバーフェンダーをボルトオン。レーシーな雰囲気に満ち満ちていた。
実際、レースでも大活躍で、Z遣いとして名を成すことになる柳田春人さん(SUPER GTなどで活躍した柳田真孝選手の父親)が、雨の富士GCレースで大排気量のオープン2シーターを打っち遣って勝利を収め、雨のZ、雨の柳田の名を上げた所以になる。