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ホイールナット選びは要注意!サーキット走行で軽量タイプがオススメできない理由

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

材質で熱膨張率と強度が異なる

 カスタマイズにおいて、ホイールとセットで交換することも多いナット。人気が高いのはジュラルミン製の軽量ナットで、カラーバリエーションも豊富に揃っている。ところがハードなスポーツ走行には、オススメできないなんて話も聞く。その真偽と理由に迫ってみた。

 まずは社外品のナットに交換する意味を改めて考えたい。純正はホイールとの接点が平らになっている平面座ナットを使用するが、社外ホイールには同じく接点に角度をつけた”袋テーパーナット”を使うなど、そもそも純正と社外ではホイールのナットが異なる。”勿体ない”という理由で、純正ホイール用のナットを流用するのは、非常に危険。これは自動車メーカーやホイールメーカーによって異なるので、しっかりと適合を確認してほしい。

 また、高価なホイールを盗難から守るため、ロックナットが必要という人もいるだろう。これらの社外ナットには、スチール、クロモリ、チタンなど多くの材質があるのだが、なかでも軽さと価格のバランスがよく、高い人気を誇るのがジュラルミンだ。”軽量や薄肉”などという謳い文句どおり、軽さに関しては「純正の半分くらい?」とビックリするレベル。またホイールやボディに合わせた様々なカラーがあり、ドレスアップのアイテムとしても大いに役立つ。街で見かけるカラーナットの大半は、ジュラルミン製であると思っていいほどだ。

 それだけ人気で使っている人も多いジュラルミン製なのに、危険だなんて説は本当なんだろうか。誤解して欲しくないのは、ジュラルミン製ナットをオススメしないのは、サーキット走行というごく限られたシチュエーション。すなわち、街乗りで一般的な使い方ならばそこまでシビアに考える必要はない。

ブレーキからの熱がホイールやナットに伝わる

 サーキット走行でジュラルミン製ナットがオススメできない理由は、通常のナット(スチール製)に比べて圧倒的に軽い分、そこまで強度が高くないという側面があるからだ。そのためサーキット走行では負荷が大きくなり、走行中に折れてタイヤが外れるなて事態を引き起こしかねない。また、ブレーキからの熱がハブボルトを通じてナットに伝わったときの膨張率も問題で、ジュラルミンは熱膨張率が高い。つまり高熱で伸びやすい特徴を持つ。

 噛み合わせる鉄製ハブボルトとの熱膨張率も異なり、ブレーキなどの熱で高温になったジュラルミン製ナットは鉄に比べ緩みやすいのだ。さらにサーキット走行では、頻繁にタイヤ交換を行なうユーザーも珍しくない。それも強度が低いジュラルミン製ナットだと、ネジ山が減りやすくハブボルトに確実に噛まなくなるし、作業が楽になるインパクトレンチも、瞬間的に強大な力がかかるためNGといわれている。

 サーキット走行が前提のクルマは高強度で熱膨張率も低く、かつ鉄よりはるかに軽いクロモリ製ナットがオススメ。どうしてもジュラルミン製を使うなら走行の前後はモチロン、インターバルにも細かめなトルクレンチによる増し締めを行ない、ナット自体も定期的に交換するのを忘れずに。

 最後にジュラルミンだろうとクロモリだろうと、購入するなら信頼できるメーカーの製品を選んで欲しい。ホイールナットのトラブルは大事故に繋がりかねず、何か起きてからでは時すでに遅しである、ということを認識しておこう。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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