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クルマ通ほど誤解している? 正しいエンジンの始動方法とは

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

アクセルを踏みながらの始動は無用

 かつて、ソレックスやウェーバーという「キャブレター」を採用した高性能エンジンが証だった頃、冷間始動(コールドスタート)させるには、一連の儀式があった。電磁式燃料ポンプの場合、ACCまでキーを回して電磁ポンプの作動音を確認し、アクセルペダルを2〜3回踏んで(キャブレターの加速ポンプを使って燃料を増量させる意味)、スターターを回す。これがキャブ車を始動させる一連の流れで、一発でエンジンを目覚めさせないと、プラグがかぶって出かけられなくなることもあった。

 そんな“儀式”もクルマ好きの心をくすぐる一方で、時代はキャブレター全盛の昭和から令和を迎えようとしているところ。だが、今でも似たような動作をすると返って始動性が悪くなることがあるため、現代のクルマにそんな儀式は一切不要だ。

 ブレーキペダル(AT車)またはクラッチペダル(MT車)を踏んで、スターターボタンを押せば、真冬の朝イチに500馬力や600馬力のハイパフォーマンスエンジンだって、グズリもせずにご機嫌なエキゾーストを聞かせてくれる。技術の進歩というのは本当に有難いものだ。

 にもかかわらず、いまでもインジェクション車の冷間始動でエンジンをかぶらせたり、長いクランキングでドキドキしている人がいる。一体どうしてなのだろうか。

 こうした人に共通しているのは、じつは「アクセルペダルを踏み込んだままセルモーターを回す」ことだった。

 上記のスポーツキャブのクルマの場合、始動前にアクセルを2~3回踏んだあと、1/4ほどスロットルを開いた状態でスターターを回す車種があったり、オートチョークがついているキャブ車はアクセルを踏んで、スターターを回す場合がある。しかし、現代のインジェクション車はアクセルペダルを踏まない状態でスターターを回すのが大原則なのだ。

 高性能キャブ車時代のエンジンスタートの“儀式”のやり方を、現代のクルマでもエンジンをかける前にアクセルペダルをパカパカ踏んで、スロットルを開けた状態でスターターを回している人は意外に多い。

 その大半が比較的若いクルマ好きやクルマ通で、ショップに持ち込んで「始動性が悪いので点検して欲しい」「ECUのプログラムに問題があるのでは」と相談するケースがあるのだが、機械的にはまったく問題がない。ショップ側でも再現できず、解決できないことが少なくない。

 もし、エンジンがかかりにくい悩み(?)を抱えている人がいたら、メカニカルなトラブルを疑う前に、自分がスターターを回すときに、アクセルを踏んでいないか確認してみることをオススメする。

 また、アクセルペダルを踏んでエンジンを始動すると、一瞬だがブォンと高回転になるはず。停車中は、エンジン内部で油膜が十分に保持されていないで、内部を傷つけることになることも付け加えておこう。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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