走行会も万が一に備えておけば安心
チューニングカーや旧車となれば、出先でのトラブル対応については頭のどこかに入れておきたいもの。もっともトラブルに対して自分で対応しようとせず、レッカーなどのサービスを呼ぶことが基本だが、安全な場所まで移動するだけの応急処置をせざるを得ないこともあるだろう。もちろん走行会などにも「あると便利」、「ぜひとも積んでおきたい」グッズをピックアップしてみよう。
使い捨てゴム手袋
ある程度の応急処置をするにはドライバーに知識やスキルが必要だが、最低限の道具も積んでおきたい。工具を積みっぱなしにしておくのも非現実的だろうが、作業をするのであれば最低限積んでおきたいのは「手袋」だ。安全な場所まで移動するための作業でケガをしてしまっては元も子もない。
かつては編手袋の軍手がスタンダードだったが、軍手は熱湯や熱いオイルがかかったときに染み込んでしまうことで火傷しやすい。最近では自動車整備の現場でも使い捨てのゴム手袋(ニトリルゴム製)を使っていることが多い。
日常的に整備を楽しむのならば家にも常備しておきたいが、そこから2~3セットを出してグローブボックスに入れておけば、出先でのトラブル対応時にも役立つことだろう。ちなみに、色は黒か青が多く、ネット通販などでは100枚入りが1000円前後で売られている。
結束バンド
「インシュロック」、「タイラップ」という固有の商品名で呼ばれることも多い「結束バンド」は、ギザギザのついたバンド部分とツメというシンプルな構造のバンドながら、バンド先端をワンウェイとなるツメに通すことにより、ワンタッチで固定できるという便利なものだ。
本来は電線ケーブルなどを結束するために使うものだが、壊れたパーツを応急処置として固定しておくにも使うことができる。たとえばボルト・ナットが脱落してバンパーが外れてしまった場合に結束バンドを使って吊り下げるといった使い方ができる。
もちろん、あくまでも応急処置なので恒久的に結束バンドで固定しておくのはNG。二次的なトラブルにつながることがあるので、修理工場についたら、どの部分を結束バンドで固定したのかをしっかり伝えておくことは重要だ。また、結束バンドには様々なサイズがあるので、いくつかのサイズを常備しておくと便利だ。
ダクトテープ
耐久レースなどを見ていると、ぶつけて壊れたボディを粘着テープで補強して走らせているというシーンを見かけることがある。しかし、レースで使われているのは一般的なガムテープよりも強度や粘着力の強い「ダクトテープ」であることが多い。
主にシルバーやグレーの粘着テープで、ホームセンターなどに行くと入手できる。かなり強度があるので、バンパーをぶつけて割れてしまったときなどに役に立つ。耐水性も強く、ホースの補修にも使えるのでちょっとしたひび割れくらいであれば応急処置が可能だったりもする。
いずれにしても恒久的な修理ではなく、あくまでも応急処置であることはお忘れなく。
ミネラルウォーター(軟水)
いまどきのクルマではオーバーヒートというトラブルを耳にすることは減っているが、旧車やチューニングカーでは見舞われることもある。ノーマル車でも、ラジエータやパイプ類からの水漏れというトラブルで冷却水が不足するケースもある。それが山の中など人里離れたところだったりすると、厄介だ。応急処置としてできるのは水を足しながら安全な場所まで移動するしかない。
そうした際に水道水が利用できればいいが、設備がない場所もあるだろう。そこでミネラルウォーターのペットボトル(2L)を積んでおくのをおすすめしたい。なお、ミネラルウォーターは純水に比べると不純物も含まれているので、エンジン内部に詰まりやすい傾向にあるので、あくまでも応急処置用として考えたい。可能であれば軟水のミネラルウォーターを積んでおくといいだろう。
ある程度の水があれば、救助を待っているときの飲料用としても有効。とくに夏場などは命を守るという意味でもメリットがある(高速道路の本線上のように、周囲に飲み物の自動販売機があるとは限らない)。開封さえしなければ消費期限は長く設定されているので、ラゲッジに積んでおくといいだろう。
針金とラジオペンチ
バンパーやカバーなどであれば外れてしまったところを結束バンドで固定できるが、マフラーなど熱を持つ部分に樹脂製の結束バンドを使うと溶けてしまう。たとえばマフラーのステーが折れてしまったようなトラブルには対応できない。そこで、積んでおくと便利なのが針金だ。
針金でマフラーを巻いて、ボディ側に引っ掛ければ、ひとまずマフラーを引きずらずに移動することができる。ただし、針金を素手でカットしたり、巻いたりするのは難しいので、ラジオペンチのような工具もセットで用意しておきたい。
いずれにしても、ここで紹介したグッズや活用法は、短距離での移動を可能にするための応急処置である。安全な場所に移動して、レッカーやキャリアカーを待つということが基本であることは、あらためて確認しておきたい。