ハリボテ時代の終焉!外観からわかる高い完成度
上海の中国GPの翌々日、『オート上海』こと上海モーターショー2019のプレスデーが4月16〜17日に(一般は4月18〜19日)あることを発見。覗いてみることにした。またぞろ、日本の真似をしたクルマのオンパレードだろうから、皮肉のひとつふたつ、と思って、上海中心部から地下鉄で20分の上海国際展示場を覗いた。
結論から書いてしまうと、皮肉を言われるのはこっちだった。だだっぴろい会場の中から、中国ブランドのクルマを見て回ったが、かつての張りぼてのような乱造製品はまったく見当たらない。15年前、上海サーキットが落成したころの中国は、テレビが爆発して年に3000人が死ぬ、というウソのような情報があった。粗製濫造のブラウン管テレビの隙間からホコリが入って配線がショートして爆発する、というもの。さらに複雑で、その上、走るという高度なメカニズムのクルマは、中国には無理、と思っていた。しかし、そうではなかったのだ。
スマホなどでハーウェイが世界的に人気を勝ち取っているように、中国製品は、コンピュータだけではなく、クルマの分野にも勢力を伸ばし始めている、ということだ。
実際には、クルマは乗ってナンボだから、走らせてみないことには、というのはある。だが、外観や内装の質感は、コストダウンをコントロールできるようになって、見栄えをよくする方法をマスターしたはずの日本車より、はるかに高い完成度がみてとれる。
中国産のクルマの運転経験がある仲間の自動車評論家によると、外観や内装の見え方は、まさしく走りにも現れ、ハンドルを右に切ったら左に曲がると揶揄された時代はとっくり終わり、快適なドライブフィールを味わえるという。
もうすでに古い話だが、モデルカーの水準が格段に高くなった時代があった。20年前に3万円を覚悟したレベルの完成度の1/43のモデルカーが、7000~8000円で買えるようになった。低賃金の中国で、生産技術のレベルが高くなったことに着目して、モデルカーメーカーが生産の拠点を中国に移すようになったためだった。これとまったく同じことを実際のクルマにも感じる。
ハイブリッドやEVなど、これまでの実績があまり関係ない分野になると、さらにこの傾向は強まるはずだ。日本の自動車産業は、本当に危ういところに来ていることを感じたオート上海見物だった。