乗用車感覚で運転すると危険
先月にキャンピングカーの横転死亡事故という痛ましいニュースが報じられました。良くも悪くも目立つ乗り物なので、キャンピングカーによる事故のイメージは強いかと思いますが、本当に危険な乗り物なのでしょうか。キャンピングカービルダーは走行テストや傾斜テストも行なっており、そもそも危険な乗り物が車検を取れるはずがありません。
何事にもコツがある様に、キャンピングカーならではの運転で気をつけるポイントがあるのです。今回は注意喚起の意味を込めてご説明しましょう。
【遅い乗り物と認識すること】
キャンピングカーは遅いです。フル装備で車重は重たいうえに、ベース車はトラックが多く、エンジンも決してハイパワーではありません。とはいえ、アクセルを踏めば、それなりのスピードが出ますし、高速でも余程の急斜面でない限り、交通の流れに乗ることも可能です。
しかし、キャブコンを例に挙げると車重は約3トンもあるため、急ハンドルや急制動は横転などの危険性はあり。運動性とあいまって「スピードを出さない・無理しない」を心がけたいものです。そもそもキャンピングカーはスピードを楽しむクルマではないのですから。
【操舵には安全マージンを持つべし】
前述のようにキャンピングカーでよくいわれるのは、「急」がつく運転はしないこと。「急発進」「急ハンドル」「急減速」などです。急発進や急減速は重い車なので、加速もイマイチだし、ピタッと止まれる訳がありません。
急ハンドルも危険。キャンピングカーは四角いフォルムなので、大型トラックの走行風や、横風にあおられて怖い思いをする事がありますが、その時の急ハンドルは、グラッとクルマの挙動が変化して安定を崩す原因となり、二次災害的事故にもつながります。鋭敏な操縦はできないと覚悟した方がいいでしょう。
ある人が面白い表現をされていました。「キャンピングカーの運転は氷上でスケートするように」とのこと。優雅におおらかにゆったりと滑るような運転を心がけましょう。
【縦方向のスケールに気をつける】
ボディサイズも普通車よりもデカイのは、お分かりだと思います。「キャンピングカーは大型免許が必要なんでしょ?」と質問される事があるくらいですが、車重5トン以上(新免許では3.5トン以上)フルコンなどの大型車でなければ、普通免許でも運転可能。しかし、車体のスケールは普通車以上のボリュームがあるので苦労することもあります。
例えば、幅の狭い道路の通行や狭い駐車場での取り回し、そして高さです。そもそも、人間の視野は、水平方向は広いですが、縦方向は狭く特に上方向は苦手。キャンピングカーの高さを忘れて屋根をぶつける事故がありますが、これも馴れです。常日頃から上方向に気をつけるクセをつけましょう。それと、危なそうだったら、無理をしないというのも重要な基本原則です。
【不要な積載物は抑える】
こちらも前述のようにキャンピングカーは、普通車よりも重たいです。車内の各種設備にくわえて乗員、荷物を積載すると、まさに横綱級。特に、荷物の積み過ぎには要注意です。なかには、自転車からカヤック、薪ストーブ、大型ロッジテントまで、しかも常に積んでいる方もいますが、これは非常に危険行為。キャンピングカーもダイエットが必要です。夏仕様や冬仕様など、シーズンにあわせて入れ替えするなど、積み過ぎにならないようにしましょう。
そして、もうひとつの課題がタイヤのバースト。重量級の車体を支えているので負担がかかりやすく、さらに経年変化にも気をつけないといけません。「まだタイヤの溝があるから大丈夫」と仰る人がいますが、タイヤは置いておくだけでも紫外線などで劣化します。週末しか乗らないというのもタイヤの変形につながるのです。
いつも重たいキャンピングカーを支えているタイヤは溝があっても、約4年サイクルで交換するのが良いとされています。ぜひ、一度チェックしてみてください。
私も登坂車線になるとついウインカーを左に打つ習慣がつき、どんどん追い越される状況を経験しました。でも、キャンピングカーの特殊性が充分に分かった今では、それらを補ってもなお余りあるキャンピングカーの魅力に大満足。「キャンピングカーに乗らずに死ねるか!生まれ変わってもまたキャンピングカー!」という気持ちになっています。
普段乗り慣れていないクルマになると、油断によって思いがけない事故が起きるもの。皆さんも、キャンピングカーの特殊性を充分に理解した上で、安全・安心・快適で事故のないキャンピングカーライフを楽しんで頂きたいものです。