構造変更に必要な申請とは?
では、車検が残っていても、それを切って新たに検査を受け直す「構造変更」とはどのような内容か説明しよう。改造したタイミングによっては、車検を1年以上無駄にすることになるだけにキッチリ押さえてほしい。
まずは、前述したように車体サイズの変更。車重に関しては100kg(普通乗用車・大型特殊自動車)または50kg(小型自動車・軽自動車)以上の変更では記載変更となる。ただし、車重が増加したときは「装着されているブレーキで規定の制動力を発揮している」ということを証明する書類が必要となる。これを用意するのは、かなり大変なことなので、一般ユーザーでは不可能だろう。
このほか構造変更の対象となるのは、乗車定員、ワゴンからバン(商用車)、燃料(LPGハイブリッドなど)、エンジン型式(改造変更も必要)といった変更。ロールケージを装着するとか、ミニバンのセカンドシートを取り外すとか、後席にオーディオをインストールするなどの理由で、乗車定員が変わったときは要注意だ。
ところがエンジン変更で例外もある。例えばシルビアなどが詰んだニッサンの名機”SR20″型エンジンは過給機付きの「SR20DET」と、過給機なし(NA)の「SR20DE」があるけど、車検証に記載されるのは「SR20」だけ。つまり元がNAのボディに過給機つきのSR20DETを載せても、構造変更どころか記載変更すら不要なわけだ。
一方、同じエンジン型式でも排気量が変わるときは、構造変更しないと違反になってしまう。もっとも外見で排気量アップを判断するのは不可能に近く、形骸化しているといえなくもない。
いずれのケースも「構造変更は次の車検でいいや」と考える人が多いだろう。ところが、構造変更が必要な状態で公道を走行するのは、違法であることも忘れないでほしい。
最後に構造変更に必要なモノを列記しておく。車検証/自賠責保険証/定期点検記録簿/自動車検査票/納税証明書/重量税納付書/OCRシート1号様式、他は所有者の印鑑くらい。ただしパーツの強度を証明する書類を提出したり、自分で書類を作成しなければならないケースもある。
勉強と考えるなら自分で挑戦してもいいが、難易度はカスタムによって天と地ほどの開きがあるのだ。書類の不備で時間がかかっているうちに車検が切れた、なんて事態を避けたいなら初めからプロにお願いしたほうが無難かもしれない。