2004年で消滅してしまったマークIIの称号
4月25日、トヨタは2019年12月でマークXの生産を中止すると発表した。半世紀にわたって、トヨタのFR(後輪駆動)のスポーツセダンとして存在感を示してきたマークIIを、前編に引き続き、今回は7代目からマークXに移り変わる歴史を簡単に振り返ってみることにしよう。
・マークII(1992-1996年)
7代目 X90
新設計のプラットフォームを投入し、全車3ナンバーになったのが7代目。四輪ダブルウィッシュボーンサスになり、ハンドリングの課題を克服。スポーツセダンらしい、パフォーマンスを手に入れている。もっともスポーティーなグレードに「ツアラー」に名前が与えられ、車重が先代のX80系よりも最大で100kgも軽量化されたことは特筆できる。
エンジンはすべてDOHCで遮音レベルが非常に高く、室内は驚くほど静かだった。価格は250万円前後で、高級感があり、よく走った。完成度は高かったが、バブルの崩壊とともに、ハイソカーブームもしぼんでいったのである。
・マークII(1996-2000年)
8代目 X100
いまでもスポーティーセダンとして人気のある100系。HIDヘッドランプが初めて採用されて、顔つきが精悍になっている。とくにチェイサーはオーバーハングが短く、スポーツ指向の強い味付けに。なかでも2500ccターボの1JZ型エンジンを積んだツアラーVは、この手のクルマでは珍しく約3割がMT車だった。
モータースポーツでも、1997年からJTCC(全日本ツーリングカー選手権)に参戦。国産勢をはじめ、BMWを除けばほとんどがFF車(前輪駆動)だったなか、チェイサーはFRで参戦。1998年にタイトルを獲得している。貴重なFRのターボモデルということで、ドリフトのベース車としても人気があり、中古車でもツアラーVのMT車は、未だに120万円ぐらいが相場になっている(程度の良い個体は300万円弱)。
なお、1997〜2002年までマークIIクオリスというワゴンが販売された。しかし、車名こそマークIIをではあったが、FFのカムリグラシアをベースした本流のFRスポーツセダンとは別モノだった。
・マークII(2000-2004年)
9代目 X110
バブル期に絶頂を迎えたマークIIも、ミニバンブームの到来もあって人気に陰りが……。そんなマークII3兄弟にテコ入れするため、9代目は路線を変更。前年に登場した11代目クラウンのプラットフォームを流用し、全高を60mmアップ。象徴でもあったハードトップではなく、室内の広い4ドアセダンとして売り出した。
同時にチェイサーとクレスタを廃し、三兄弟を解消。代わりにイタリアンテイストのヴェロッサと、久しぶりのワゴンとしてブリットを投入。
2001年に300馬力にパワーアップし、足回りもチューニングした「フォーチュナ・ヤマハパワー(ヤマハと共同開発 モデリスタ製)」も登場したが、人気を盛り返すことはできず、「マークII」のネーミングではラストモデルとなってしまった……。