“急”のつく運転操作が疲労感を増加する
快適な運転の基本は誰が乗っても同じですので、高齢者に限らず、同乗者に快適に乗ってもらう運転の基本について紹介。ただし、とくに高齢者が苦手とする部分も加えておきます。
まず、運転を不快に感じるときになにが起きているか考えてみましょう。運転を不快に感じるのは加速、減速、コーナリングの全てで動きが”急激で予想できない場合”に起きます。これは速度が高い低いより、ハンドルやアクセル、ブレーキの操作で大きな差が出ます。
速度の変化量より急加速が不快
たとえば発進(0km/h)から100km/hまで加速する場合、変化量は100km/hで大きいように感じますが、これをゆっくり加速すれば何の不快感もありません。しかし、わずか0km/hから5km/hまでの加速でもこれが急ならば、不快に感じます。これは5km/hの差でなく、1km/hの差でも同じこと。つまり、アクセルやブレーキがギクシャクするのはかなり不快です。
また、加減速GやコーナリングGが強く掛かり過ぎることも不快。加速Gは普通のクルマではさほど強く起きませんが、たとえばポルシェやテスラモデルSでフル加速したら不安を感じる人もいるでしょう。
減速Gを安定させ止まる前にブレーキを弱める
減速Gは急ブレーキで発生しますが、事故回避のための急ブレーキはやむを得ないものですのでためらわずに使って下さい。
意外と大きなGが発生するのが5km/hあたりから停止までを一気に行った場合。この領域ではABSも作動せず、タイヤがロックしますので大きなGを発生します。赤信号で止まるときは、ゆっくりとブレーキペダルの踏力を抜きながら(弱めながら)スムーズに停止するといいでしょう。ただし、ここでブレーキを抜きすぎるのも不安を感じます。スムーズに一定に発生していた減速Gが抜けてしまうと、ブレーキが効かなくなったのと勘違いすることもあるからです。
左右に揺するようなコーナリングは厳禁
コーナリングにかかるGは、さほどスピードが高くなくても、大きく回り込んだコーナーならばどんどん身体にかかる負担が強くなっていきます。また、ハンドルを切り込んだり、戻したりという方法を続けると右に左に身体が揺さぶられるのでこれも不快になります。高齢者の場合は、足を突っ張って踏ん張るようなことが苦手なのでとくに注意が必要。シートベルトが食い込むことを嫌う方も多くみられます。
シートベルトの着用は必須
サイドリフトアップシートに装着されている胸部ベルトで身体が支えられると思ってる方もいますが、あのベルトはシートを上下させるときの脱落防止用ですので、走行時は必ずシートベルトを装着して下さい。
とくに腰回りのベルトを少し引いて、ぴったりと身体に密着するようにしましょう。
胸部ベルトを着けて安定感を増したいと思うかもしれませんが、あまりおすすめできません。胸部ベルトの上からシートベルトをするとすき間ができてシートベルトの効力を落としますし、胸部ベルトの下にシートベルト(つまりシートベルトを装着してから胸部ベルトを装着する)をしても、走行中に少しずつゆるんだシートベルトが巻き取られずたるみがどんどん増える可能性があるからです。