積みやすくて風切り音が低いルーフボックス
荷物を雨や汚れから守り、車内も広々と利用できるルーフボックス。その主要な用途は「スキーやスノーボード」で、容量300L(リッター)の薄型が売れ筋だった。ところが近頃のキャンプ人気もあり「キャンプ道具が入る大容量」の売れ行きがいいという。
コンテナボックスに道具を詰めてルーフラックに乗せるほうが積載の自由度が高いが、流線型のルーフボックスのほうがクルマにとっては空力特性が良いわけだから燃費は良好だし走行時の風切り音なども静かだ。
何よりも、ひとつずつ道具を持ち上げて中に固定してゆくルーフボックスとは違い、ルーフラックはコンテナボックスに荷物をまとめて持ち上げなくてはならない。これが思いのほか重たかったりするので大変なのだ。走行中に固定していたネットやタイダウンベルトがゆるんで荷物を落とすかも? という不安もつきまとう。だがルーフボックスではこれらの点でいずれも有利、キャンパーがルーフボックスに注目する理由はここにあるわけだ。
ファミリーキャンプなら容量は350L〜500L
4月6-7日、東京・代々木公園で行われた「アウトドアデイジャパン東京」に出展していたカーメイトは、ルーフボックスにどれだけのキャンプ道具が入るかを紹介。キャンプ道具を収納するなら、容量は350L以上が目安だと教えてくれた。
かさばる道具の代表は封筒型寝袋でφ20×40cm程度。ファミリーキャンプではこれが3〜5個必要だ。テントとタープはそれぞれφ30×75cmとφ20×70cm程度。
たとえば、INNO WEDGE PLUS 864は容量360Lで、ダンパーやフックの内側の寸法は183×65×H28cm。テントとタープ、4個の封筒型寝袋くらいは余裕で入るというわけだ。これだけで車内はずいぶんスッキリして、運転しているお父さんたちも後方を確認しやすいだろう。
さらに大容量の500Lのルーフボックスなら内寸幅が79cmで、チェアを横向きに収納できる。チェアやテーブルなどそれ以上小さくたたむことができないものを、斜めにすることなく収納できるのはそれだけで気持ちがいい。保冷力自慢のゴツいクーラーボックスを持っていきたい人や、大型のケージを積んでペットとキャンプ旅をしたい人にも、これくらいの容量があるとラゲッジルームに余裕が生まれ安心だ。
両端は軽く中央に重いモノを積載
さて大抵のルーフボックスには、内部で荷物を固定するためのベルトが付いている。荷物が少なくボックスに空間があってもベルトできちんと固定しておけば荷物が動くことはないわけだ。
だからといってただ詰め込めばいいというわけではない。最新のルーフボックスは空気抵抗を考慮して前方が薄め。ベースキャリアの真上はしっかり固定されているが、先端になるほど走行時の風でぶれやすくなる。なので両端には軽いモノ、中央部に重いモノを入れるのが鉄則なのだ。
ルーフボックスは大きければいい?
ラゲッジが小さなクルマであってもたっぷりの荷物を運べるのがルーフボックスの利点だが、大きければ大きいほど便利かというと、そうではない。
一般的なルーフボックスの高さは30〜45cm程度、幅は70〜95cm程度で容量によるサイズの差は20cm以内なのだが、長さにいたっては110〜230cmと実に100cm以上もの差がある。
そのため、バックドアが横開きなら心配はないが、跳ね上げ式だとルーフボックスに干渉することがある。この点は注意して欲しい。
またルーフボックスはベースキャリアの上に取り付けるわけだが、メーカーによってベースキャリアのバーのサイズ・形状が異なることもある。設置するベースキャリアの足(クルマに固定する部分・フット)にこのバーを通す四角い空間があるが、この空間のサイズが狭くてバーが通らないことなどもあるので注意が必要。ベースキャリアのフットとバーは同じメーカーを選択したほうが安全だ。
ベースキャリアが決まってしまっているとルーフボックスの容量をワンサイズ小さくしなければならないケースもある。もし、ベースキャリアが未定なら、いろいろなメーカーからワイドで短めの大容量ルーフボックスを探したいものだ。
両開きタイプのほうが荷物の出し入れが良好
ルーフボックスには片側しか開かない「片開き」と両側から内部にアクセスできる「両開き、デュアルオープン」がある。断然便利なのは両開きだ。
たとえば、狭い車庫など助手席側の壁にぴったり停めた場合、運転席側からアクセスできない片開きだと荷物の出し入れは不可能だ。反対に、道路脇に停めてちょっと中の道具を確認したいなんてときは、助手席側(路肩側)からルーフボックスを開くほうが安全。それに、ワイドなルーフボックスであれば反対側の荷物を取り出すのに苦労する。
また写真のように横に自転車やスキー板を積む場合、どちら側にでもルーフボックスを寄せられるので両開きのほうが自由度が高い。結局、両開きのほうが、あとあと不満が残らないだろうから便利かもしれない。
ルーフボックスは気軽に買い換える製品ではない。容量やデザインはもちろん、開閉やロックのしやすさ、耐久性、空気をスムーズに流す底面デザインなど、細部まで触れて確かめてから手に入れよう。