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日本と東南アジアの一部が特殊!ウインカーレバーの世界基準は左側

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TEXT: 工藤貴宏  PHOTO: 工藤貴宏、Auto Messe Web編集部

日本は慣習からウインカーレバーが右側

 左側通行の日本では、クルマは右ハンドルで、ウインカーレバーは向かって右についているのが常識です。輸入車の左ハンドル車が日本仕様として右ハンドルに変えられていてもウインカーは左についていますが、これは日本では少数派の部類ですね。

 しかし、そんな日本の常識が世界の常識とは限りません。同じ右ハンドルでも、イギリスではウインカーレバーは左についているのがあたり前です。

ISOではワイパーレバーは右側

 実は世界にはISO(国際標準化機構=日本では「アイエスオー」と呼ばれる)という国際的な組織があり、いろいろな国際規格を定めています。企業に勤めている人なら品質マネジメントシステムの「ISO9001」や環境マネジメントシステムの「ISO14001」に関わりを持っている人も多いでしょうし、道路交通安全に関する「ISO39001」というのもあります。クルマの装備でも、たとえばチャイルドシートを装着する「ISOFIX」はISOにより世界中で統一された規格ですね。

 ちょっと話が難しくなってしまいましたが、実はウインカーレバーの位置もこの「ISO」で標準化されているのです。それに基づくと、「ハンドル位置を問わず、ウインカーは左側でワイパーは右側」となり、右ハンドルでもウインカーレバーの位置はなんと左側。これが世界統一規格なのです。

 実は数年前、ISO規格に基づいて日本でもウインカーレバーを左側にするという話し合いがおこなわれたこともありました。しかしこれまでの慣例を踏まえて、日本は特例扱いで「右側でいく」ということとなり、いまに至るのです(2007年以降は日本の要求によりISOも右ハンドル車の右ウインカーレバーを認めている)。日本人はあたりまえのように右手でウインカーを操作していますが、これって実は右ハンドルのクルマが走る地域の中でも一部だけなのです。

 ところでタイも、日本と同様に右ハンドルの代表的な市場。そこで、タイ仕様車のウインカーレバーがどちらについているか確かめてみました。サンプルは、タイで生産されているホンダ「シティ」です。日本では「グレイス」として販売されているモデルですね。

 タイは左側通行なので、当然ですが右ハンドルです。

 果たしてウインカーレバーがある場所は?

 右側についていました。日本と同様に。

 しかし、ほかのクルマを見ると……

 なんと左側。このMG「ZS」はホンダ・シティと同じくタイ国内で生産される右ハンドル車ですが、現地の慣習よりもISO規格を厳格に守っているというわけですね。

 シティなどの日本車は、かつての慣習(東南アジア向け右ハンドルの日本車はウインカーレバーが右側についていた)をそのまま受け継いでいるというわけです。

 気になったので調べてみたところ、右ハンドルでウインカーレバーが左につく地域は、日本やタイのほか、マレーシア、インドネシア、そしてオーストラリアの一部の車種など。

 右ハンドルの地域に出かけたら、ウインカーレバーが右にあるのか、それとも左にあるのかをチェックしてみるのも面白いですよ。

 余談ですが、バンコクモーターショーで展示車両をチェックしていたら、ホンダ・シティに日本仕様とのこんな違いがありました。

 わかりますでしょうか?空調操作パネルに妙な違和感が……。空調に「暖房」がないのです。これは日本メーカーの現地生産車。たしかにバンコクなどは必要ないと思いますが、タイでも北部の標高の高い場所に行けば暖房が必要な状況がありそうな気もしますが……。

 また、メーターも220km/hまで刻まれていて、アジア市場ならではの妙なヤル気を感じました。

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