海外の自動車会社のみならず異業種とも提携
日本には、8つの乗用車メーカーと、4つのバス/トラックの商用車メーカーがある。それは世界的に見ると特異なことだ。日本という狭い市場で数多くのメーカーがしのぎを削り、技術と商品を磨いてきた。しかし、電動化や自動運転など、クルマの新しい価値の創造へ向け、提携し、グループとして地力を強化する動きが進んでいる。
国内自動車メーカーの資本提携で最大規模となるのは、トヨタとの関連だ。よく知られるところでは、ダイハツ工業が1998年から続いた子会社の関係を、2016年に100%トヨタが株式を保有することで完全子会社化した。バス/トラックメーカーの日野自動車も、2001年にトヨタが50.1%の株式を取得して子会社となっている。
続いて、それまで日産との関係が深かったスバルがトヨタを筆頭株主に迎え、マツダもトヨタを第二の株主とする提携を行った。さらには、スズキもトヨタとの業務提携を検討し、今年になって協業内容を発表した。
それらにより、トヨタ、ダイハツ、日野、スバル、マツダ、スズキと、国内全12メーカーのうち6社がトヨタとの関係を築き上げたことになる。
それ以外では、日産自動車が三菱自動車工業の発行済み株式の34%を取得することで提携関係が結ばれた。ルノー/日産/三菱の連合で、昨年は世界最大の自動車メーカーになっている。乗用車メーカー8社では、ホンダが単独で残るのみだ。
商用車メーカーの三菱ふそうは、ドイツのダイムラーと提携しており、UDトラックスはボルボと提携関係にある。いすゞは、昨年トヨタとの資本提携を解消して現在は単独の状況だ。
ガソリンエンジンの自動車が1886年に誕生して以来、世界の自動車メーカーは離合集散を繰り返してきた歴史がある。たとえば現在のダイムラー社にしても、そもそもは、ベンツ社とダイムラー社と別であったのが合併し、その後、クライスラーとも合併して、ダイムラー・ベンツ社からダイムラー・クライスラーとなり、その後クライスラーとの関係を解消して今日のダイムラー社となっている。
日本では、日産が戦後に英国のオースチンのノックダウン生産でダットサンを製造していたり、その後にプリンスを合併したりしたのは有名な話だ。独自路線を歩み続けたホンダも、80年代には英国のブリティッシュレイランドと提携を結んだり、ジープ・チェロキーを販売したりしたこともあった。現在は、燃料電池でゼネラルモーターズと提携関係にある。
カール・ベンツによるガソリンエンジン自動車の発明から133年を経た今日、自動車の大変革とされるのが、電動化と自動運転の実現へ向けた技術開発だ。この2本の柱は、これまで100年を超えて行われてきた自動車開発や販売とまったく違った事業形態を求めている。
電動化においては、自国の自動車産業育成を政府の方針とする中国が躍進し、その先頭に立とうとしている。自動運転へ向けては、国内外を問わず、新規のベンチャー企業がサービス業の手段として実現を切望し、事業化を目論む。
もはや、自動車産業だけでは将来が立ち行かない状況が生まれているのである。したがって、トヨタが率先して他業種との提携を進めているように、単に自動車メーカー同士の離合集散にとどまらず、令和の時代には、業種を超え、また自動車先進国か新興国かを超えた合併や提携が一層進んでいくことになるだろう。それでなければ、自動車メーカーがそもそも生き残れない時代を迎えるのである。