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気温が低いとクルマがパワーアップ? サーキット走行に適した意外な季節とは

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TEXT: 斎藤 聡  PHOTO: Auto Messe Web編集部

夏はエンジンやタイヤへの負荷が高まる

 一般にはサーキット走行は冬がオススメといわれています。これは外気温が低いので、エンジンが冷えやすいし、熱による負担も少ない。また、外気が冷えているので空気密度が高く、エンジン出力が出やすくなるからなのです。しかし、一概にメリットばかりではありません。じつは、春から梅雨入りもサーキット走行に適した時期なんです。

 気温が10度以下になるとNAエンジンでも気温25度以上と比べ数馬力の差が出るクルマもあります。ターボ車ならばなおさら。もともと空気を圧縮して空気密度を高くしたところに燃料を噴射してパワーを出すのがターボの仕組みですから、夏場の膨張した空気を圧縮するのと、冬場の冷えた空気を圧縮するのとでは効率が違うのは判るでしょう。

  これを充填効率といいますが、充填効率が高いほうがパワーは出しやすい。ターボにインタークーラーが備わるのも吸気温度を冷やすためです。いまでは軽自動車でもインタークーラー付きは常識ですが、ターボが登場して間もない頃は、インタークーラーなしというクルマがたくさんありました。

 話が逸れましたが、そんなわけで、エンジンにとっては空気が冷たい冬場のほうがパワーが出やすく、また冷却の面から見てもエンジンの負担が少ないので、冬場がオススメなわけです。

 ただし、タイヤに関しては一概に寒いほうがいいとは言えません。いや、突き詰めていけば寒いほうがよいのですが、問題は冷たいままではタイヤ本来のグリップ性能は発揮できないということ。レースのフォーメーションラップでタイヤを温めているのは、よりグリップしやすいように温めているわけです。セミレーシングタイヤはもちろんですが、最近のハイグリップタイヤも、グリップ性能を追うために、低温でのグリップ性能はあまり高くありません。

 タイヤは適正な温度(スポーツタイヤならば30度くらい)にならないと本来のグリップ性能は発揮できず、温まった状態よりも唐突に滑ります。手応えを確かめながら、冷えた状態でタイヤに負担をかけすぎないように気を付けて温めていく必要があります。

 逆にタイヤが発熱しすぎると、タイヤはオーバーヒートしてグリップ力は低下。摩耗も進んでしまうので、いい状態を維持するのは難しいため、やはり暑い夏よりは冬のほうが向いているといえるのです。

 しっかり走り込める、走行時間のたっぷりある走行会なら冬場が楽しいはず。しかし、走行時間が限られた走行会だとタイヤやエンジン、デフを温めている時間が少ない場合、多少気温が温かくなってからのほうがクルマをいいコンディションで走らせやすいかもしれません。そのため、春から梅雨に入るまでくらいの時期は、案外走行会に向いた季節というワケなのです。

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