振動の種類や出所によって異なる
クルマに乗っていてハンドルがブレた経験はありますか? その原因は軽微なものから深刻なものまでいくつか考えられます。場合によっては、早めに対処しておけば大掛かりな修理には至らず、出費も抑えられたとなることもあります。ここでは、さまざまな振動のタイプを一例として、原因と修理費の目安を紹介していきましょう。
走行時にハンドルがブレる
ハンドルのブレ(振動)でもっとも頻繁に遭遇するのはホイールバランスの不良。ひと口にホイールバランス不良といっても原因はさらにいくつかに分けられます。ひとつはホイールのバランスを保っている「ホイールウエイト」が走行中に外れてしまい、バランスが狂ってしまった状態。このようなケースの振動はバランスの崩れ方にもよりますが、80km/hくらいから顕著になって120km/hくらいでほぼ消えます。こうした症状はたいていバランスが合っていないことが多いようです。
それから意外とよくあるのが、タイヤを組み替えてすぐに急発進をしたりや急ブレーキをかけると、「リムずれ」と呼ばれるタイヤがリムの上を滑って回ってしまうこと。つまり、バランス取りをしたタイヤとリムの位置関係ずれることで、バランスが崩れたことによって振動が出ます。タイヤを組み替えてから数日は、丁寧に走ったほうがいいと言われるのもそのためです。
こんな具合に単純にバランスがくるってしまった場合はタイヤショップなどでバランスを取り直してもらえばOK。バランスが崩れたタイヤが特定できれば、工賃は1本1000円前後が相場です。
すこし深刻なのは、アルミホイールのバランスがそもそも取れていなかったとき。安売りのアルミホイールには少なからず生じることがあります。大抵は、低速から小さくブルブル震えるような振動があり、速度を上げるにつれ振動が増加。この場合はホイール交換をオススメします。
ヌルヌルとクルマが不安定な動きをした
タイヤがパンクした時に振動が出ることもあります。釘などを踏んでも、そのまま釘が抜けず、スローパンクチャーように徐々に空気が抜けていく。空気圧が少なくなってくるとスタンディングウエーブに近い形で、振動が発生します。
特定の方向にタイヤがつぶれてヌルヌルと滑るような不安定な動き。こうした症状の後にバイブレーションがあったら、タイヤがバーストする危険性もありますので、なるべく早くクルマを停めて確認する必要があります。修理代はタイヤ1本分ですね。
ちなみにパンク修理は2000円くらいですが、穴の大きさや場所によっては修理不可ということもあります。また、修理したタイヤは、多少なりとも性能は落ちるので早めに交換しましょう。
ブレーキング時に振動が出る
続いては、ブレーキをかけた時にクルマがブルブルと振動するケース(ブレーキペダルにも振動が出るとき)。これはブレーキローターが熱で歪んでしまったり、割れてしまった場合に起こり得ます。ブレーキローターの歪みは、ローター交換となるので、費用は数千円から数万円となるでしょう。
ただ、ブレーキパッドがすり減った場合も、ブレーキを酷使するとこうした振動が出ることがあります。この場合はブレーキパッド代と交換工賃。こちらは数万円を覚悟しましょう。
もし、ブレーキペダルには振動が出ないけど、ハンドルや車体が振動するケースだとしたら、足まわりのブッシュ類のヘタリかもしれません。サスペンションの構造や部品の構成によって修理費は異なりますが、ブッシュだけの交換ならパーツ代は1万円くらいからとなります。
常に振動が出て徐々に大きくなる
最後にもっとも深刻なのは、ドライブシャフトの振動。FF(前輪駆動車)や4WDのクルマで、ハンドルをいっぱいに切ったままアクセルを踏み込むような運転や、車高を低くしていると、ドライブシャフトのジョイント部に負担が掛かりやすくなります。
ホイールバランスが崩れるのとは異なり、速度域に関係なくハンドルに振動が出たり、酷くなるとフロアからも振動が発生。そのままにしていると振動が大きくなってきて、最終的にドライブシャフトが折れることもあります。ドライブシャフト代+交換工賃で10万円ほどでしょうか。
振動は軽微なものから深刻なものまでさまざまありますので、「まぁ、いいか」と済まさず、きちんと点検をしてくださいね。