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1歳を過ぎたら前向きに座っても大丈夫はウソ! チャイルドシートの正しい使い方とは

チャイルドシートの後ろ向き装着はいつまで?

 これは子どもを自家用車に乗せることのある人にとって、かなりモヤモヤとした疑問ではないだろうか。

「1歳になったら前向きに座らせてもいい」と思っている人も多いが、それは大きな間違いであることを知ってほしい。国土交通省やJAFのチャイルドシートコーナーでも、子どもの体重が9kg〜18kg、身長が65cm〜100cm、年齢が1歳〜4歳くらいで幼児用のチャイルドシートを「前向きシート」として使用することを推奨しているため、そうした誤解が定着してしまったのかもしれない。

 しかし、1960年代に後ろ向きチャイルドシートを発明したスウェーデンでは、少なくとも4歳まで、ただし4歳を越えてもできる限り長く、子どもを後ろ向きに座らせることを強く推奨している。スウェーデン最大の保険会社Folksamが行なった調査によれば、前向きチャイルドシートの場合に子どもが死亡または重傷を負う確率は、後ろ向きチャイルドシートの場合の5倍も高くなるという。

 また、4歳頃まで後ろ向きチャイルドシートを使い続けるスウェーデンと、1歳頃から前向きチャイルドシートに置き換えることの多いドイツを比較すると、「クルマに同乗中の子供が交通事故で死亡する確率」が、1歳で約4倍もドイツの方が高いという統計が出ている。

 なぜ、それほどの差が出てしまうのか。安全性を最優先するのクルマづくりに定評のあるスウェーデンの自動車メーカー、ボルボが発表した研究結果では、第一に子どもの骨格のもろさを挙げている。乳幼児や子どもは頭部が大きいプロポーションであることは誰もが知っているが、例えば成人男性の頭の重さは全体重のわずか6%で、生後9ヶ月の赤ちゃんは25%にもなることはあまり認識されていない。

 しかもその重い頭を支えなければならない頸部(けいぶ=首の部分)は非常に貧弱な状態。とくに頚椎(けいつい)の軟骨部は、生後3年をかけて徐々に骨化し、思春期までかかる。首の筋肉と靭帯の発達にも長い時間がかかるという。

後ろ向き装着で90%ものリスク低減を確認

 交通事故の中で最も多い正面衝突の際に、前を向いて座っている乗員の頭部は非常に強い力で前方へ投げ出されるが、幼い子どもの首ではその衝撃に耐えられず、悲しい結果になってしまうのだ。1歳の子どもが前向きチャイルドシートに座っていて死亡したケースでは、同乗していた大人は打撲程度で済んだにもかかわらず、子どもだけが死亡した例も多いという。

 後ろ向きチャイルドシートなら、その強い衝撃が全て首にかかることを避け、背中と頭部全面で受け止めることができるため、前向きチャイルドシートに比べて大幅に安全性を高めることになる。数字的にもそれは証明されており、スウェーデンにおけるボルボ乗車時の0歳〜15歳の子供を対象として、交通事故の際の負傷リスクを調査した結果、ベルトも何も装着していない状態と比べて、後ろ向きチャイルドシート使用時には90%ものリスク低減が確認されている。

 ただ、子どもの身長、体重に合ったベビーシート、チャイルドシート、ジュニアシートを使うことは大前提であり、クルマの室内空間によっては、子どもが成長してくると足がつかえて不自然な体勢になってしまうなど、物理的に後ろ向きにできなくなる場合もあるだろう。使用中のシートが合わなくなったサインとしては、子どもの頭がシート上部からはみ出てしまうようになったら、より大きなものに替えるタイミングだ。

【結論】チャイルドシートは子どもの発育に合わせて選ぶことが大切

 我が家では、新生児から体重18kgまで適合のチャイルドシートを使い、ミニバンの2列目シートで後ろ向きに取り付けた。子どもの成長に合わせてシートバックを倒していき、なるべく足が伸ばせるように工夫して4歳直前まで後ろ向きを続けた。ただ、このように子どもの足もとスペースを確保できるのは、ミニバンだったからだ。

 子どもの身長が100cm、体重が15kgになり、もうこれ以上2列目席のシートバックが倒せず、頭がシート上部ギリギリまできたところで前向き装着に変えたが、前向きに座ると眠ってしまった際に頭がガクンと前に倒れることが多く、首への負担が心配になっている。できればもう少し長く、後ろ向きに座らせたかったというのが本音である。

 チャイルドシートは子どもの成長に合ったものを選び、できる限り長く後ろ向きで座らせること。これが、より高い確率で子どもの安全を確保する新常識だと多くの人に知ってほしい。

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