危ないクルマに近づかない回避術
「君子危うきに近寄らず」とはよく言ったもので、街を走っていると「これは近づかない方がいいな」というクルマをときどき見かける。昨今は、さまざまな交通事故のニュースが報道されているが、そうしたクルマを見分けることで、己の身を守ることにもなる。そこで、近づかないほうが良いと思われるクルマの特徴を、いくつか列挙してみよう。
ドアミラーを畳んだまま走っている
ドアミラーを畳んだまま走り続けているクルマや、ルームミラーが明後日の方向を向いているクルマはけっこう目にする。
こういうクルマに乗っているドライバーは、間違いなく後方を見ていないし、意識もしていない証拠。いきなり車線変更をされたりするリスクがあるので、近寄らないに限る。
ヘッドライトの点灯タイミングが遅い
薄暗くなってきてもヘッドライトをつけないクルマがけっこう多い。トンネルの中や市街地は照明や街灯が明るいので、ヘッドライトの点灯を怠りがちになる。これらは、周囲のクルマに気を配っている人なら、早めにライトオンにした方が、被視認性が高まることを知っているはず。他人のことは気にならない人ほど、他人に見られていることを考慮しない。
夕方は日没の30分前から、ヘッドライトをつける(スモールではNG)。日中でも、雨が降ったらライトをつける。朝方も、しっかり太陽が昇るまではライトオンというのが基本。夕方、西日がまぶしい時間帯に、太陽を背にして走るようなときも、逆光対策でヘッドライトを点灯した方が安全だ。
クルマのヘッドライトは、電気代がかからないし、燃費にもほとんど影響しないので、ライトはどんどん活用したい。
真っ直ぐ走っていない
高速道路、一般道を問わず、車線こそはみ出たりはしないが、フラフラして落ち着かず、真っ直ぐ走れないクルマがある。
半分居眠り運転なのか? 目線が近すぎるのか? 肩や腕に力が入り過ぎているのか? 道に迷っているのか? 何か別の作業をしながら運転しているのか? それともオドオドしているだけなのか? もしかしたら飲酒運転や、危ない薬をやっている可能性も……。
理由はいくつか考えられるが、危ない行動を起こす可能性は高い。こうしたクルマとはできるだけ車間距離を広くとっておくのが重要。高速道路などで、追い抜くチャンスがあれば、早めに追い抜いて距離を確保した方が安全だ。
雨天なのにハイペースで走行している
首都高速道路株式会社のデータによると、雨の日の交通事故の発生数は雨天の約4倍。施設接触事故発生件数でみると約12倍も増えている。
ほとんどが、「スリップ」と「見落とし」が原因なので、晴天時と同じペースで走るのは愚の骨頂。雨の中、ライトもつけずにハイペースで走るようなクルマがいたら、とっとと道を譲って、距離を置こう。
運転姿勢の悪いドライバー
シートバックを寝かしてだらしない格好で運転していたり、妙にハンドルまでの距離が近かったり、顎が上がった姿勢や、背中が背もたれから離れて運転している人などなど。
このようなドライバーは、クルマからの情報をきちんとキャッチしているとは思えないし、操作の正確性も低く、メンタル面でも余裕があるとは思えない。お近づきにならない方が安全だ。周囲のドライバーの様子を見ることも事故予防のひとつだ。
スマートフォンをいじっているドライバー
スマホをいじっていたり、通話しながら運転するのは、道路交通法違反。警察庁によると、平成30年中の携帯電話使用等に係る交通事故件数は、2790件で過去5年間で約1.4倍に増加しているとのこと。また、死亡事故率を比較すると、携帯電話使用等のケースでは使用していない場合より約2.1倍高くなっている。
その他、カーナビ等を注視中の事故も多く発生しているし、テレビや漫画を見ながら運転している人も……当然のことながら危険だ。ダッシュボードに雑誌が載っているようなクルマは、近寄らないほうが賢明だ。
・携帯電話使用等(交通の危険=事故を起こした場合)の罰則は、違反点数2点、反則金9000円(普通車)
・携帯電話使用等(保持)の罰則は、違反点数1点、反則金6000円(普通車)
ペットを抱いているドライバー
ペットを膝に抱いたまま運転している人もときどき見かける。これもじつは道交法違反だ。そもそも違反以前にちょっと考えれば危険な行為だとわかるはず。もし、ペットが急に暴れ出したら運転操作が疎かになるのは容易に想像できるだろう。
ペットは後部座席かラゲッジルームに、専用ハーネスなどをきちんとつけて乗せること。そのほうがペットも急ブレーキなどでケガをする可能性は下がる。
不必要なところでブレーキを踏むクルマ
普通にクルマが流れている道路なのに、不必要なところでチョコチョコブレーキランプが点灯するクルマも要注意。さらに、赤信号などで止まるときでも、手前で止まって、また少し動いて、止まったり……。
迷っているのか、優柔不断なのか、スキルが低いのかはわからないが、挙動不審気味のクルマなので、近づかないほうが良いだろう。
高齢者マーク、初心者マークのクルマ
初心者マークや高齢者マークをつけているクルマとは、距離をとっておくのがベター。道交法でも、そのようなマークを付けたクルマに幅寄せや割込みなどをした場合は違反になる(高齢者マークの装着は70歳以上の運転者の努力義務)。
高齢者は加齢で視野が狭くなりがちで、初心者も運転に余裕がないので同様に周囲への注意が散漫になりがち。そのような理由からも、近づかないほうが無難だ。
見るからに「かっとび」という走りのクルマ
首都高速などの都市高速道路でよく見かける、やたらと飛ばしているクルマ。個人的な印象としては、ライトバンやワンボックスなどの営業車が目立つ。車線変更を頻繁に繰り返したり、トリッキーなレーンチェンジをするようなクルマは、周囲の状況を十分に確認してない。しかも、路面状況によっては、スリップ事故を起こす可能性も高い。とにかく先を急いでいるようなので、関わることなくとっとと道を譲ってしまった方が安全だ。
汚いクルマ、傷だらけのクルマ
バンパーやドアなどに擦り傷のあるクルマは、持ち主の車両感覚が鈍いことを表している。また、汚いクルマもクルマへの愛情が感じられないので、雑な運転をする可能性が大。極端な表現をすれば、キズがひとつ増えても気にしないドライバーと想像すれば、近寄らないほうが良いことを理解できるだろう。
駐車場で近くに止めてはいけないクルマ
駐車場で近くに止めないほうが良いクルマのタイプを紹介しよう。まずは上掲と同じく、バンパーやサイドにキズがあるクルマのドライバーは、車両感覚が鈍く、きれいなクルマのそばに止めるより、ぶつけられるリスクがグッと高くなる。
また、駐車マスにきれいに止められていないクルマも危険。はみ出していたり、斜めに止めているようなクルマは、下手くそな証拠。前向き駐車の指示がないのに、前向き駐車する人も要注意。駐車に自信がない人が多いし、真っ直ぐバックで出る駐車スペースでなければ、方向転換するので車両の前方が大きく振られてぶつけられるリスクは高い。できればそうしたクルマの隣は避けて駐車したい。