塗装の修正に時間と手間が掛かるマット塗装
「マット(ツヤ消し)カラーは、光りが反射をしないように塗装の表面がギザギザになっています。そのため、通常のメタリックやクリアの塗装のように、バフ掛けという磨きをかけて、ボディに付いた”ブツ”と呼ばれるホコリなどを落とすことはできません。スープラのマット塗装は、ブツが発見されたら取り除いて再度塗装しているのでしょう。自動車メーカーの品質レベルを考えると、何度も作業を繰り返すことになるはずです」と語るのは、大阪府で自動車の板金塗装・修理を行なう田中オートサービスの田中代表。
ちなみにマット塗装といっても、表面には紫外線による焼けやキズから守るクリア塗装が施される。グレーメタリック塗装の上に、ツヤ消しし塗料を重ねてからクリアを吹くか、クリアにツヤ消し剤を混ぜるそうだ。ちなみに市販のツヤ消し剤は、一般的な塗料より約10〜15倍高価だという。
「マットカラーは、塗料が高価なのでブツを取り除いて再度塗装となれば、コストはどんどん上がっていくのは間違いありません。しかも、バフ掛けで磨く修正に比べたら時間や労力は何倍も掛かります。そのように考えると大量生産は難しいですね。さらに万一、擦ったりぶつけたりしたときの修理も大変だと思います」と田中氏。
トヨタ広報に電話取材した際、最初は「半導体を製作するレベルのクリーンルームを使用して塗装する」と言っていたが、後にグラーツ工場では採用されていないと否定。しかし、塗装後の修正が難しいとなれば、クリーンルームは必要なのは周辺取材からも理解できる。
ところで「マットストームグレーメタリック」の市場におけるプレミアム性だが、現段階では「あり」と言っておこう。その理由は、海外の自動車メーカーに限らずドレスアップ業界でもマット塗装が人気の今は、スープラとマットストームグレーメタリックの組み合わせは最強だろう。
しかし、クルマのボディカラーの人気は、時代によって浮き沈みがあるので、発売時は大人気でも時間とともに不人気になった事例も否定できないことも付け加えておこう。