「仕事があるから出かける」時代へ
キャンピングカーは、名のとおり”キャンプするためのクルマ”と思われていますが、最近ではキャンプ以外でも、観光名所を巡るくるま旅や、スポーツ、コンサート、花火やお祭りに出かけるなど、その可能性が広がっています。また、ワークスペースとして活用しようという動きも出てきました。
現在、スマートデバイスの普及やモバイルネットワーク環境の発達、働き方改革によりワークスタイルが変革。テレワークを導入する企業やアドレスホッパーなど定住せず多拠点で働く人が増えていますが、地方都市では、東京一極集中による人口流出と少子高齢化により空き家の増加が課題となっているので、昨今は空き家や遊休施設をリノベーションしたコワーキングスペースやコリビング等の整備が進み、当施設を定額制で利用できるシェアリングエコノミー型のサービスが全国的に拡大しています。
そこで、ANAとトラストパーク、テルウェル東日本が連携。観光拠点として整備・展開している車泊スペースをワークスペースとして提供し、これまで仕事で行く可能性のない地域にキャンピングカーで移動しながら働く、実証実験が6月1日からスタートします。モニターは、ANAとテルウェル東日本が連携して東京都内在住者から募り、日程が決まれば飛行機(ANA)、キャンピングカー、車泊場所の予約まで一括して行ってもらえるわけです。
これは、いわばノマドワークの効果や関係人口の増加、地方移住の促進、など東京在住者から見た地方の可能性をモニター検証するというもの。実証実験に先立ち、対象車泊施設(福岡県、熊本県2カ所、長崎県の計4カ所)のうち「RVパークsmart草枕温泉てんすい(熊本県玉名市)」を実際に訪れてみました。
対象車泊施設の実体験レポート
私も実際にシミュレーションしてみました。まずは既に予約しているので、チェックインはあらかじめ印刷したQRコードを(スマホに表示したものでもOK)を機器にかざすだけ。渋滞などで夜遅くになって、施設が閉まった後の到着になっても安心です。そして、電源などはチェックインと同時に使える仕組みになっていました。
さあ、ドライブで小汗をかいた(運転も立派な仕事)ので入浴へ。お風呂までは目と鼻の先(約200メートル)なので、まるで庭先の温泉に行く気分です。しかも利用者の入浴料が無料(1名)なので、さらに仕事にやる気が出てきますね。
さて、湯上りでエアコンによって適度に冷えた車内。ビールを呑みたい気分をグッと抑えてお仕事です。WiFiが使えるので、メールチェックなども問題なく、普段のオフィスよりも格段に快適な環境なので、テキパキと仕事をこなすことができました。そして、締めはキャンピングカーの冷蔵庫から冷えた缶ビールで乾杯。お酒を呑んでも、堂々とお泊りができるのもRVパークの魅力といえるでしょう。
今までは、出かけたくても仕事があってダメだったのが、仕事があるから出かけられるのです。現在のIoT技術があれば、どこでも仕事が出来る。息の詰まるオフィスよりは、快適な環境、空気が美味いところで仕事するという選択肢。趣味道楽と思われがちなキャンピングカーが、こんなところでも大活躍できるとは思いませんでした。
さいば☆しん(彩羽森:くるま旅作家/くるま旅コンサルタント)
キャンピングカーで日本全国くるま旅。主にキャンピングカーで漫画&コラムを創作、キャンピングカー雑誌や関連サイトに連載したり、ショーイベントではトークショーで、キャンピングカー&くるま旅の素晴らしさを伝える。体内に凶暴な腹の虫を飼っていることでも有名。