キャンピングカーの就寝スペース基準をクリア
わざわざキャンピングカーを買わずとも、フラットなベッドスペースで快適に車中泊ができるミニバンがある。キャンピングカーの就寝スペースの基準は長さ1800mm、幅500mmとのことだが、ここでは後席を畳むことでその数値、ベッドスペースをクリアできる国内外の車中泊に適したミニバン(ミニバンベースの2列シートを含む)を4台紹介したい。
VWゴルフ・トゥーラン
その筆頭が、VWトゥーラン。走りはゴルフ7譲りの文句なしの上質さと、ゴルフに勝る乗り心地と車内の静かさが魅力だ。
しかも、2/3列目席をフルフラットに畳むことで、最大フロア長は約1900mm。フロア幅は最大1310mm、もっとも狭いところでも1030mm(1人分515mm)。つまり、キャンピングカーの就寝スペースの基準は長さ1800mm、幅500mmを余裕でクリアしている。フロアは完全にフラットだから、マットを敷けばベッドそのもの。シートをアレンジした凸凹の上に寝るのとはわけが違う。荷物は助手席、ラゲッジの床下収納に置くことができる。
ホンダ・オデッセイ
意外なる車中泊に向くミニバンとして紹介したいのが、ホンダ・オデッセイである。
7人乗りの2列目キャプテンシートは「プレミアムクレードルシート」と呼ばれ、170度リクライニングするとともに、シート表皮裏には数センチのクッション材がラミネートされ、かけ心地、寝心地は快適そのもの。”クレードル=ゆりかごシート”というだけあって、背もたれをリクライニングしても頭が前を向くアレンジも可能。平らに寝るよりも、170度リクライニングのほうが、逆流性食道炎になりにくいという報告もある。また、HVモデルならAC100V/1500Wコンセントも用意され、家電品の使用もOKだから車中泊旅にも向いている。
シートサイズは幅500mm。シート長そのものはクッション長500mm、シートバック長610mmの1110mmながら、オットマンによって大人がゆったりと寝られるベッド長が確保。ただし、身長によって寝心地は異なるので、ショールームで実際に170度リクライニングさせて、寝心地を確かめたい。
ホンダ・フリード+
車中泊するのはごくたまのことで、むしろ普段使いのしやすさ、コンパクトなサイズを優先したいというならフリード+だろう。
1列目席の前倒し、2列目席の格納、そしてボードをセットするなどの手間は必要だが、「リラックスベッドモード」時の完全フラットなフロアの長さは5ナンバーミニバン(のサイズ)にして1980mmに達する。フロア幅はラゲッジボードを上段にセットすれば1270mmもあるからゆったり。フリードには専用マットレスなどの各種車中泊用のアクセサリーも用意されているから楽しく、便利。ちなみにボード上段時の室内高は975mm。大人でも体育座りができる空間が確保されている。
日産 NV200バネット
正確にはミニバンというよりビジネスバンだが、NV200バネットの5人乗りは、2列目席を倒すことで出現するフルフラットなラゲッジフロア長はなんと2040mm。
フロア幅も1500mmあり、ダブル(1400×1950mm)またはワイドダブル(1500×1950mm)サイズのマットレスを敷くことで完ぺきなベッドルームに変身。値段は倍以上になるものの、電気自動車版のe-NV200なら、AC100V/1500Wコンセントを2個完備。電源付きのベッドルームになる。
もちろん、冷房や暖房を使っても、静かなままで、排出ガスが一切出ない環境性能にも注目。無論、NV350キャラバンはさらに広大な空間となる。
ここで、Lサイズミニバンのトヨタのアルファードやヴェルファイアはどうなのよ? という声が聞こえてきそうだが、寝るには基本的に2/3列目席を倒すアレンジとなり、シートがソファ的なかけ心地の快適感やサポート性を重視しているため、ベッドとしては、薄手のマットレスを敷いたとしても、凸凹が大きくなってしまう。すなわち、VWゴルフ・トゥーランやホンダ・フリード+で可能な、フルフラットなシートアレンジは望めないのである。
番外編 ホンダ・シャトル
最後に、ミニバンではなく5ナンバーサイズのワゴンで車中泊も可能な1台として、マイナーチェンジで新しくなったばかりのホンダ・シャトルを紹介したい。
通常時のラゲッジスペースは奥行き955mm、幅970~1500mmと、ボディサイズからすれば十分に広い。ただし、そのままでは寝られない。が、後席を低く沈み込ませるように格納すると、ラゲッジスペースから連続するフルフラットスペースが出現。そのフロア長は1770mm。つまり、身長177cm以下なら、足を伸ばして平に寝ることができるのだ。
では、身長180cm以上の人は真っすぐに寝られないのか、という答えはNO。実は、ボクが考えた、ヘッドレスト逆付け&ステー引き延ばし術を使うと、枕分まで含めたベッド長は1850mmに達してしまうのである。つまり、ベッドレストの長さぶん、ベッド長がかせげるというわけ。知り合いで身長187cmの長身男がいるが、時に、愛車のシャトルでゆったりと寝ているらしい。参考までですが……。