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【2019 Drift Kingdom Rd3】川井健太郎選手が今シーズン初優勝

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TEXT: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)

3戦すべて優勝者が異なる混戦模様へ

 6月8日~9日、宮城県スポーツランドSUGOにある西コースを舞台に、「ドリフトキングダム第3戦」が開催された。第2戦を欠席した土屋圭市審査委員長が戻り、さらにSUPER GTシリーズにニスモチームから参戦し活躍する現役GTドライバー、松田次生選手も審査員として今季初合流。さらにD1GP初年度から参戦しており、過去に幾度もタイトル獲得経験を持ち、今シーズンから審査員に加わった今村陽一審査員とともに3名による審査で開催となった。

 今季のドリフトキングダムは全6戦が予定されており、このSUGO戦が3戦目。シーズン前半が終了する一戦だ。西コースの最終コーナー手前からスタートし、1コーナーから6コーナーまでを使うシリーズで最も計測区間の長い1戦となる。西コースは通常レーシングカートなどの競技が行われる比較的コース幅の狭いコース。観客席やパドックへの石はねを配慮し、脱輪に対しても厳しい審査が行われる。

 前日の「クラブマンクラス」の決勝日は雨となったが、「プロクラス」決勝日となった6月9日(日)は、曇りがちだが過ごしやすい1日に。関東はすでに梅雨入りしているものの東北地方はまだ入梅まえということで、会場には多くのドリフトファンが駆けつけ、コースサイドの芝生エリアに各々場所をとってピクニック気分で観戦した。

 今シーズン、出走台数が少なかったキングダムだったが、今回はプロクラスで22台、クラブマンクラスが18台のエントリーを受け付け、選手層も厚い一戦となった。クラブマンクラスでは、予選トップの河南勇太選手(#26 オートアスリート・ガレツネ1号/S15)を準決勝で破った飯田真司選手(#49 SecondStageクレスタ/JZX100)が今季初優勝。ランキングトップに船橋 竜選手(#64 ガレージミラルダS14 VL/S14/62ポイント)が浮上し、谷岡昭夫選手(#12  Mon-To-Blan/AE86/50ポイント)が追いかけるという構図に代わっている。

 昨年第6戦・第7戦に参戦し2連勝を飾っている中村直樹選手が戻ってきたプロクラスでは、午前中に行われた2本の練習走行セッションで、前戦間瀬戦を制した益山航選手のマシンがトラブル発生。すぐに修復を試みるも予選セッションまでに間に合わず、ここでまさかのノーポイントとなってしまう。

 そしてスタートした予選単走セッション。一本目で、前田翼選手(#74 VITOURオディエイティー/RPS13)が、土屋圭市審査委員長から満点の100点を獲得し、久しぶりに覇気を見せるが、安定の速さを見せる“予選番長”の川井謙太郎選手(#109 AUTO-TEC チェイサー/JZX100)が、加点でそれを上回って予選トップ通過。これに前田選手、そして長瀬幸治選手(#54 HIRANO TIRE/JZX100)、平山 敦選手(#823 REAL FAST シルビア/S15)が上位で通過していく。

 ベスト16によるトーナメント追走決勝では、やはり、追走は驚愕のテクニックを持つ中村選手の走りに注目が集まる。もちろん、その多くが中村選手の圧勝という構図。しかし、今回のキングダムは少し違った。

 1回戦では、ポイントランキング3位で予選3番通過の長瀬選手が、敗れはしたものの中村選手を相手にしっかりと鼻先を入れることに成功。続く2回戦でも、増田和之選手(#100 ORVISレーシングマークII/JZX100)がしっかりと張り付き、最後は5コーナーで中村選手の腹にマシンを突っ込んでしまって敗退したものの、周囲の想像を超える追走をみせ、会場も大いに盛り上がる。

 これには「長瀬、増田といった中村のインを指すやつが出てきたってことは、今後めちゃくちゃ期待できるし、みんながうまくなってきているということを実感する1戦だったね。この“中村上等”って走り、いいじゃん」と土屋審査委員長も絶賛。

 ベスト4には、川井、中村、ドリフト侍選手(#212 ついんずとっとこ1号き/S13)、藤間勝也選手(#27 ガレージサムライカラス180/RPS13)の4人が勝ち進んだ。中村選手はベスト8でのクラッシュの応急処置でマシンは完調ではなかったものの、決勝戦でも川井選手に競り勝ち見事な走りをファンの前で見せた。

 しかし、競技後の車検で規定空気圧が足りず中村選手は失格。ドリフトキングダムでは、ドリフト走行中のトラクションを稼ぐために過度にエア圧を下げる行為に対し、今シーズンから採用するレギュレーションで、走行終了30分後のタイヤ空気圧が1.2㎏f/cm2なければならないのだが、中村選手のマシンで使用されたタイヤ空気圧は1.1㎏f/cm2であった。結果、川井選手が自身2度目となる今季初優勝を遂げた。

 川井選手は「中村選手との追走は、自分の手の内をすべて、100%出し切った結果です。レギュレーションにのっとって競技を行っているので、そこについては純粋に優勝となってうれしい、ですね。ただ、走りについてはスキルアップできるよう努力しシリーズタイトル獲得を目指したいと思ます」とコメントした。

 各選手の順位が繰り上がり、2位には3年ぶりの表彰台となった侍選手。そして藤間選手は前戦間瀬での初表彰台に続いて、2戦連続の3位を獲得となった。

 決勝後、今村審査員は「中村の走りは素晴らしかったけれど、中身は“圧勝”ではなく、キングダムの各選手が盛り上げていて、今回も見ごたえのある1戦だった。マシントラブルなどもあって残念な結果となってしまった若手もいるけれど、失敗を繰り返して次にそれをつなげていく機会だと捉えて、よりレベルの高い走りを次は期待したいです」と菅生戦を振り返った。

 また、松田審査員も「今シーズン初審査となりましたが、各選手が昨年よりレベルが上がってきていました。中村選手の参戦の相乗効果なのか、近い将来が楽しみです。ただ、今日はマシントラブルが多かった。そこは残念でしたね。それと、今回は川井選手が予選だけでなく決勝でもしっかり結果を残してきてて、次の無敵化も近い感じですね。次回の走りにも期待しています」とコメント。

 この日は朝からの陽気にも誘われて、非常に多くの観客が来場した。パドックでは来場者を対象としたイベントも盛り沢山で、プロクラス全ドライバーが参加する「サイン大会」や、豪華な審査員による「トークショー」も開催。また、恒例となったチェリオの「ライフガード無料サンプリング」、「優勝者当てコンテスト」、来場した子どもたちを対象とした「コースde宝さがし」といった催しも行われた。

 ドリフトキングダムも後半戦へと折り返し、続く第4戦は、8月17日(土)~18日(日)の2日間、栃木県・日光サーキットで開催となる。

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