タイヤの置き場所や履き替える手間が一切不要
ここ数年、にわかにいくつかのタイヤメーカーから発売され、注目が集まっているタイヤがあるのをご存知だろうか? それが「オールシーズンタイヤ」で、その名の通り、夏の道路から雪道までの走行を1セットで網羅することができる、という触れ込みのタイヤだ。そこで実際にオールシーズンタイヤを半年間ガチの愛車に装着し、試乗を重ねてみたのでレポートしたいと思う。試したのはネクセンタイヤ(以下ネクセン)の「エヌブルー4シーズン」だ。
装着する前は、オールシーズンとなれば、ドライ路面はともかく、ウエット路面での性能はどうなのだろう。さらに降雪後の雪道性能は本当に大丈夫なのか? タイヤはクルマの部品の中で、唯一路面と接するもの。いわば命を乗せる大事なパーツだ。欧州や北米においてはこのオールシーズンタイヤの存在がかなりポピュラーで人気を博しているのだが、世界的にも特殊な気候帯である日本の変化に富んだ雪道を、果たして走破できるのか。個人的にも興味はあるが、疑問(というよりもはや猜疑心)のほうが大きかった。
日本でもジワジワとその名を浸透させつつあるネクセンだが、その理由は良品が安価で提供されているから、に尽きる。1942年に韓国で設立、同国に本社を持つネクセンは、2017年に満を持して日本にも現地法人を構えたことで知名度が拡大している。
タイヤ製造メーカーとしては有名他メーカーの現地生産を長年支えてきているほか、ネクセンブランドとしてもフォルクスワーゲンやフィアットなどの乗用車だけでなく、なんとポルシェまでのタイヤをOEMでカバーしており信頼性の高さを誇る。
そんなネクセンのオールシーズン「エヌブルー4シーズン」だが、タイヤチェーン規制が入った道路でも走行可能な「スノーフレークマーク」がしっかりとエンボスされているから、雪道のテストにも大手を振って持ち込めるというわけだ。
まず、夏の走行だが、驚くことにウエット性能が非常に高い。これはタイヤのトレッド面を見ればある程度想像がつくのだが、通常のサマータイヤに比べて溝が非常に深いためだ。深い溝で路面の水をしっかりと掴み、そして回転によって排水させているというロジックによるもの。実走行での感触は見た目以上だ。ブレーキを踏んでからの空走距離も短く、コーナリングでの安定性も思った以上にスッキリとしているし、感触が良い。
しかし、これだけ溝が深いと耐摩耗性が低いのではないかと不安にはなる。そのへんもメーカー広報によれば心配はないという。コストに敏感な欧州の顧客からのフィードバックを常に受けていて、ロングランに関してのテストでも高い評価を得ているそうだ。むろん、半年間のレビュー中は問題など起こるわけもなかった。
個人的に少し気になったのはドライ路面走行中の走行音で、これはやはり通常のサマータイヤよりもややタイヤノイズが気になる。でも、これもすぐに慣れてしまった。走行中は大概ラジオや音楽を聴いているけれど、これらのボリュームを上げなければいけないほどではないレベルだからだ。