他車からの故意的な接触で順位を落とす
アメリカでもっとも人気のある自動車レース・シリーズ「NASCAR(ナスカー)」の3大カテゴリー、「Monster Energy NASCAR Cup」、「NASCAR Xfinity」とともに開催されている「2019NASCAR Gander OutdoorsTruck」シリーズは、シーズン第10戦をアイオワ州ニュートンにあるアイオワ・スピードウェイで6月16日に開催した。
アイオワ・スピードウェイは1周0.875マイル(約1.4km)のショート・オーバル。コーナーには12~14度のバンク角が付くため高速コースである。「M&M’S 200 presented by Casey’s General Store」は、このコース200周(第1と第2ステージは60周、最終ステージ80周)で争われる。
NASCAR唯一の日本人オーナーである服部茂章氏が2008年に立ち上げた「Hattori Racing Enterprises(HRE)」は、このシリーズで昨年チャンピオンを獲得。今季は、ドライバーにAustin Hill(オースティン・ヒル)選手を起用している。第10戦は、米国中堅ゼネコン「ARCO NATIONAL CONSTRUCTION」のスポンサードを受け、#16「ARCO NATIONAL CONSTRUCTIONTOYOTA TUNDRA」で参戦となる。
6月15日(土)の午前から行われたフリー走行では、1回目は7番手、2回目は3番手と好調であったが、予選は夕方から雨でキャンセルとなった。予選がキャンセルされた場合は、オーナーズポイントの順位が予選順位に適用されるため、ヒル選手は9番グリッドからのスタートとなった。
当初はこの日に決勝レースが行われるはずだったが、天候が再び悪化したため、決勝レースは翌日16日(日)の午前11時から行われることとなった。天候も回復した16日は予定どおり決勝レースがスタート。ヒル選手は序盤から中段集団からなかなか抜け出すことができずにいた。
第1ステージも終わりが近づいた53周目、イエローコーションが発生し、ヒル選手はピットイン。ここでチームは素早くマシンをコースに戻し、順位を3つ上げ8位で第1ステージを終えた。続く第2ステージまでのステージコーションで16号車はコースに留まり、1つポジションを上げ、67周目、7番手から第2ステージがスタート。最終的に9位でフィニッシュ。
ここでピットインした16号車をピットクルーはさらに素早く作業を行って7番手でコースに戻す。加えて、ピットロードでのスピード違反車両があったため、6番手から最終ステージがスタート。
しかし、このステージの137周目、ヒル選手がターン3の入り口でチャージを仕掛けた際に13号車の左リア部分に接触してしまいイエローコーションとなった。16号車はそのままコースにとどまって走行を重ねていたものの、ここに13号車が追突。16号車はピットインを余儀なくされ、クルー達は直ちにダメージ部分の修復に取りかかった。幸いにもマシンは何とかレースに復帰出来る状態で、ポジションは大きく後退したものの、17番手でコースに戻る。その後、ヒル選手は4台をパスし、13位でフィニッシュした。レース後トップチェッカーを受けた44号車が車検失格となり、最終的にヒル選手は12位となった。
今回マシンをぶつけてきた13号車のジョニー・ソーター選手は、前回のテキサスのレースでも16号車の巻沿いになってクラッシュ、そして今回も接触があったため、イエローコーション中に16号車のヒル選手にマシンをぶつけるという行為に出たようだ。しかし、オーバルを中心にレースを開催しているNASCARではこういった行為はよくあることで、現在NASCARのトップカテゴリーでレースをしているドライバーの誰もが若手の時に同じような事を経験して上のクラスに上がってきている。ヒル選手にとっては「欠かせない経験である」と服部監督はコメントを残している。
続くNASCARトラックシリーズ第11戦は、6月22日(土)、イリノイ州にあるワールド・ワイド・テクノロジー・レースウェイで開催となる「CarShield 200 presented by CK Power」に参戦する。