新CVT採用や基本性能を向上
ダイハツが、軽自動車にスーパーハイトワゴンのジャンルを切り開いたタントをフルモデルチェンジした。4代目の新型は、トヨタのTNGAに相当するダイハツの新世代プラットフォーム「DNGA(Daihatsu New Global Architecture)」を初採用。高齢化社会に向けた新装備を充実させたことも特筆できる。
初代はスーパーハイトワゴンの先駆け
タントは2003年の発売以来、圧倒的な室内空間の広さと使い勝手の良さを実現する高いボディにより、スーパーハイト系という新市場を開拓。
2007年に登場した2代目は、助手席側にピラーレスとスライドドアの組み合わせで乗り降りを楽にしたミラクルオープンドアを採用。かつて日産が初代プレーリーという3列ハイトワゴンで採用したアイディアを軽自動車で実現したメリットは計り知れず、当時は断然トップの人気を獲得しダイハツの看板車種に成長した。
一時は絶大な人気を誇ったタントだが、2011年の暮れにホンダが先代のN-BOXを登場させてから勢いを失ったことは否めない。2013年発売の3代目は両側にパワースライドドアを採用して挽回を図ったが、ライバルたちも追従した。
そして2017年にN-BOXが2代目に進化し、スズキのスペーシアも同じく2代目を投入し売れ行きを伸ばす。結果、このジャンルでかつて人気ナンバーワンだったタントが、苦戦を強いられることになったのだ。
こうした背景のもと、4代目となる新型タントは満を持しての登場だ。開発のコンセプトは、すべての世代に向けた「新世代のライフパートナー」。ダイハツが新たに導入した車両プラットフォーム「DNGA」の採用により車としての基本性能が向上したうえ、より安全に、より使いやすくなった。
軽量・高剛性の新プラットフォームDNGA
新型タントを語る上で必ず押さえておきたいポイントが、前述のDNGA導入第1弾モデルであるということ。ゼロベースで新開発した軽量かつ高剛性のプラットフォームは、ダイハツにとって2002年の2代目ムーヴ以来の新たな礎といえるもの。しかもDNGAは軽自動車の枠にとどまらず、セダンやSUVなどのBセグメントまでカバーする骨太のアーキテクチャーなのだ。
ちなみに一部は「Dモノコック構造」と称して、2017年5月にデビューした現行ミライースに先行採用。その進化版とも言えるDNGAでは、操縦安定性や乗り心地のよさを最大限引き出すため、サスペンションアレンジを最優先して設計された。
その上でボディの骨格を最適配置。衝突安全性や騒音や振動などを低減するNV性能、ボディ強度も大幅に向上させ、曲げ剛性は約30%もアップした。さらに、ハイテン材の活用や構造の合理化でプラットフォームを含むボディ骨格全体で約40kgの軽量化も達成している。