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【三菱eKワゴン・eKクロス試乗】軽自動車のイメージを一新した高質感な走りと内外装

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: 小林健


力強くスムーズな走りをするターボ搭載のeK X

 試乗したのは4WDターボの「T」。発進時は、ハイブリッドのモーターアシストもありストレスなく力強くスタート(最大30秒間モーターがアシスト)。2000回転ちょっとで十分なトルクが得られるので、動力性能には不満はない。高速道路も走ってみたが、合流時の加速、追越し車線へ出たときの加速なども力強くスムーズ。とくに料金所から本線への合流区間が短い首都高速では、その恩恵を感じる。

 なにより感心したのは、加減速、コーナリング時の無駄な姿勢変化がないこと。ハイトワゴンなので重心が高く、その影響でピッチングやロールも大きくなることが予想されたが、ボディ、そして足回りがしっかりしていて、加速、ブレーキ、コーナリング時の車体の動きが上手にコントロールされている。ハイトワゴンにありがちなユラユラした不快感がないのだ。

 アクセルを戻したときの減速感もナチュラルで、ブレーキもしっかり効くしコントロール性がいい。ハンドルを切れば、鋭すぎず鈍すぎず、切った分だけ自然に曲がるので運転しやすい。また、三菱の軽自動車では初めての「ハンドル戻り制御」をパワーステアリングに採用したことで、ハンドルのセンター感がしっかり出ていて頼もしい。これも走りの質感を大きく高めている要因だ。とにかく走る、止まる、曲がるに関しては、非常にハイレベルに仕上がっているといっていい。

 唯一気になったのは、軽自動車では初となる可変速CVTのセッティング。本来無段階変速がウリのCVTにもかかわらず、あえて多段式のATのように段階的に変速しながら車速が伸びる仕組みで、加速中、エンジンの回転数が高いままダラダラ車速が伸びるようなことがなくなったので、静粛性と加速フィーリングの向上には役立っている。その代わり、流れが小まめに変化するような高速道路では、わりと変速頻度が高く、落ち着かない印象も。慣れの問題かもしれないが、これは好みが分かれるかもしれない。

軽快な走り味が印象的なeKワゴン

 一方、eKワゴンの試乗車はFF(前輪駆動)の「G」。eKワゴンにはハイブリッドなしのNAエンジンしか用意されていないが、この新型エンジンが意外に秀逸。全域でトルク感があり、街中でも非常に使いやすく力不足を感じさせない。

 4WDのeKクロスより車重が90kg軽いこともあり、またCVTのセッティングとマッチしていて、なかなか走りは軽快。タイヤもeKクロスよりワンサイズ小さい155/65-14だが、ハンドリングもナチュラルだ。

 リアサスは4WDはトルクアーム式3リンクだが(ワゴンとクロスともに)、FF車はトーションビーム式でストローク時のタイヤの向きの変化が少なく接地性もいい。そしてリアサスの省スペース化が図れるので、FF車のトランクは床下BOXの容量だけで54リッター(深さ20cm)もある!

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