コスト面でシャークフィンアンテナにメリットなし
国産車では2010年代になって増えてきた自動車用の「シャークフィン(ドルフィン)アンテナ」。名前の通り、イルカやサメの背びれ(ヒレ)のような流線フォルムで、スタイルリッシュに見せるというのがメーカーの狙いだ。また、従来のロッド型アンテナと異なり、固定タイプなので洗車機に入れる際や、立体駐車場などで折りたたんだり取り外す必要がないメリットもある。
高級車から軽自動車まで幅広く普及している
こうした形状のアンテナを国産車で見かけるようになったのは、日本で展開をはじめた頃のレクサス各車あたりからといった記憶もあるが、いまやコンパクトカーでも見かけるほど増えている。2019年8月にモデルチェンジする軽自動車、ホンダN-WGNもカスタム系グレードにはシャークフィンアンテナが採用される模様だ。
2005年、レクサスが初採用した段階ではテレマティクス用のDCM(通信)アンテナだったが、現在はその多くがラジオ用アンテナとして機能。しかし、電波を強く受信することは難しく、アンテナとして機能させるためにはアンプで信号を増幅することが必要なため、コストがかかるアンテナといえるのだ。
そのため、いまだに従来からのロッド式を選んでいることが多い。また、いずれにしてもアンプで増幅するならば窓ガラスに貼り付けるフィルム式や埋め込み式といった選択もあり得る。クルマのスタイルを損なわないことを優先するならば、シャークフィンよりもフィルム式などのほうにメリットがあるようにも思えるだろう。