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【若者が愛する90年代車両】最初は教材だった? 両親から贈られたロードスターを大胆カスタム

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭

クルマというキャンバスに描いた力作

 宮城県の白石スキー場で開催された「ミチノクレトロカーズセッション」で発見したナンバーなしの初代ロードスター。公道を走らなくなってもカスタムを続ける理由をオーナーに聞いてみた。

 朝からの雨にもかかわらず、大盛況に終わったミチノクレトロカーズセッション。純正にこだわる人からチューニングやドレスアップを楽しむ人まで、オールジャンルのクルマ好きが楽しめるイベントだ。

 主催の金 秀樹さんによると「近年は20代の若いオーナーが増えています」とのことで、ココで紹介する甘利峻太郎さんもそのひとり。彼が持ち込んだのは世界的なセールスを記録したマツダの初代ロードスター(NA6CE)と呼ばれるモデルである。現在はナンバーを切って街乗りに使ってはいないが、手放すどころかカスタムは登録抹消後も継続。自身にとって大切な愛車であることはずっと変わっていない。

 理由は甘利さんにとって初のマイカーであると同時に、クルマ好きな両親から贈られたプレゼントであること。父と母がそれぞれRX-7とロードスターに乗る家庭で育った影響もあり、幼少期よりクルマ好きで高校を卒業すると自動車整備の専門学校に入学した。そのタイミングで「学校の勉強だけじゃなく自分のクルマは自分で整備しなさい」と、厳しくも優しい気持ちで与えられたというワケだ。

 整備の教材として選ばれたのは、絶好の”不動車”。手直しの必要がないわけでなく、動かすまでにオルタネーター/ブレーキ/クラッチといった各部を、時にはプロの整備士にチェックしてもらいつつレストア。リヤのクォーター部分は凹んでおり雨が降ると室内に水が入る状態だったが、そこも何とか修復でき晴れてナンバーを取得するに至った。以降は同じく両親から受け継いだ、カスタム好きの魂に火が着く。

 エンジンはOERのスポーツインジェクションにより、スポーティな吸気音と鋭いレスポンスを実現。足まわりはアペックスのN1ダンパーをベースに使い、ストローク量の変更やアーム類を加工して地を這うようなスタイルに。ボディカラーは純正っぽく見えるが実はラメ入りで、シンプルなエアロでロードスターらしさを維持した。

 ある程度のカスタムが進んだ時点で車検取得は難しいと判断。自分流のキャンバスで描いた力作は、イベント会場などクローズドコース専用となった。カリフォルニア州のナンバーが付いているのはそのためで、前後のエンブレムを外さずに残りているのもコダワリ。公道を走ることがなくなったとはいえ、両親の愛情と自らの思い出が詰まった相棒だけに、手放す考えはまったくないと甘利さんは話す。

 今後もカスタムや整備の教材としてはモチロン、家族の絆をカタチにした存在として共に歩み続けていく。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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