純正ほどコスト管理がシビアではない社外ホイールは製法により軽量と強度を両立
一方、社外ホイールは、自動車メーカーほどの厳しい基準は設けていません。コストを掛けられるスポーツホイールならば、製法を変えて強度や剛性を高めつつ、軽量に仕上げることができます。そういう意味では、社外アルミホイールのほうが、設計自由度は高いといえるでしょう。
ホイールの軽量化によるメリットは大きく、レースの世界では、足回りの1kgの軽量はボディ10kgの軽量に匹敵するといわれているそうです。確かにホイールが軽くなるとフットワークが軽快になり、スッキリした乗り味になります。また、バネ下重量が軽くなるため、足の動きがスムーズになりやすく、路面への追従性が高まるため、クルマの運動性能も高まります。
ただし、メリットを受けるのはサーキットなどのスポーツ走行を行なう場合。よく言われている燃費の向上も思ったほど期待できないので、街乗りメインの人は特別に意識する必要はないでしょう。もちろん、JWL+VIAマークが付いているのが、ホイール選びの基準です。
では、純正の重いホイールにメリットはないのかというと、特にプレミアムクラスの高級車用セダンの場合、ホイールの重さも含めてしっとりした乗り心地を作り出しているので、ホイールを軽くすると、前述のように路面の微細な凹凸を拾って、低中速域では逆に乗り心地が悪くなることもあります。
運動性なら軽量化のメリットはありますが、乗り心地に関しては、無暗に軽量化するとかえって悪くなる可能性があることも覚えておいてほしいと思います。また、リヤエンジン(リヤミッドシップも含む)のように、前軸重量の小さいクルマは、軽いホイールを装着するとジャイロ効果が低下して直進安定性が低下するケースもあります。
アルミホイールはデザインに目が行きがちですが、トラブルがそのまま事故につながる重要なパーツなので、品質は必ず頭の隅に置いておいてほしい項目といえるでしょう。