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初参戦は中古のトヨタ・アルテッツァ! GAZOO Racingニュル24時間への挑戦を振り返る

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TEXT: 山本シンヤ(YAMAMOTO Shinya)  PHOTO: トヨタ/Auto Messe Web編集部

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GRスープラ進化度に期待

 2019年6月22〜23日にドイツで開催されたニュルブルクリンク24時間耐久レースに、トヨタはTOYOTA GAZOO Racingとして、発売間もないGRスープラ、レクサスLCの2台体制で参戦。豊田章男社長自らGRスープラで参戦したことで話題となり、158台中41位で完走。レクサスLCも完走で総合54位となった。今でこそ、メーカーワークス体制となっているが、このレースへ参戦を始めた当初はプライベーターレベルだったのだ。

 2007年から始まったTOYOTA GAZOO Racingのニュル24時間の挑戦。既存のレーシングチームに頼るのではなく、全てがトヨタ社内のメンバーで構成。中古車のアルテッツァRS200をレーシングカーに仕立て、レースという極限状態での“クルマとの対話”を学んだ。gr4

 2008年は「クルマの味探し」がテーマとなった。ニュル24時間ではLF-Aの開発目的で参戦が注目されたが、GAZOO Racingとしての活動は、市販車(レクサスIS250のイギリス仕様6MT)でニュルブルクリンク耐久シリーズ第4戦(VLN4)に参戦。

 2009年はGAZOO Racingの活動とLF-Aの開発テストがリンク、「レースを通じて車両開発を行なう」がより本格的となった。2年目のLF-Aは、前年の経験を元に改良され2台体制に。どちらも様々なトラブルが発生し1台はリタイヤしたが、もう1台は24時間を走り切り量産に向けた知見やデータを残した。

 2年に渡りニュル24時間で開発テストを行なってきたLFAが2009年に秋に正式発表。2010年は更なる高みを目指しての参戦となった。しかし、決勝は1台がGAZOO Racing初のクラス優勝を獲得したが、もう一台はエンジンに重大なトラブルで戦線離脱。通常ならリタイヤを選択するが、チームはエンジン交換を実施。このような経験が人を鍛えていったのも事実だ。

 2011年も「勝ち負け」ではなく「人とクルマを鍛える」と言う開発テストのスタンスは変わらないものの、より上のレベルを目指した年だ。2台のLFAでの参戦となったが、「速さ」にもこだわっていた。予選は2台共に上位を獲得し、ニュル24時間で速い車両にのみ与えられる識別灯「ブルーフラッシュ」を初めて手に入れた。しかし、決勝は予選のようには行かず、2台共に大きなトラブルに見舞われたが完走を果たした。

「スポーツカーはニュルで鍛える必要がある」と、LFAから始まった「極限状態での開発テスト」は、FRスポーツ「86」にも受け継がれた。2012年はLFAが1台、86は2台という3台体制の大所帯だ。LFAは、2011年の反省から軽量化や空力の見直しで乗りやすさの追求。86はニュル24時間初参戦と言うことで、市販車+αで軽量化も最小限。LFA/86共にクラス優勝を獲得、結果も残った年となった。

 2013年もLFAが1台、86が2台の3台体制での参戦だ。LFAはGT3マシンに対抗できる性能、86は軽量化とエンジンのブラッシュアップとより“速さ”も追求。しかし、予選で1台の86がクラッシュ、フロント周りの損傷が激しく修復は困難とリタイヤを決めた。2台での決勝は豪雨と霧の影響で他チームのクラッシュが続出、レース途中で約9時間の中断もあったが、無事完走を果たした

 2014年も3台体制は不変だが、新たに先行開発の実験車両「LFA Code X」参戦。未発売のクルマを鍛えると言う意味では、2008-2009年の「LF-A」と同じイメージだ。LFA/86は2013年の反省から「速さ」と「乗りやすさ」を高次元でバランスさせたアップデートを実行。予選/決勝共にこれまでにないトラブルフリーの展開。LFA Code Xも参戦初年度と思えない走りを見せた。結果はGAZOO Racing初となる参戦全クラス優勝を達成。

 LFA/86の参戦に一区切りを付け、2014年投入したLFA Code Xに加えて、レクサスRCの2台体制での参戦となった2015年。LFA Code Xは見た目こそ大きく変わらないものの、2014年の経験から中身は大きくアップデート。レクサスRCは市販車にはない新パワートレインを搭載していた(当時)。LFA Code Xは前年に続きクラス優勝。RCは初挑戦ながらほぼノントラブルで完走している。

 2007年の初挑戦から10年目、そしてGAZOO RacingからTOYOTA GAZOO Racingとして初参戦となった2016年。マシンは2015年から挑戦のRCに加えて、クロスオーバーのC-HRレーシング、そしてTOM’SとのタッグによるRC Fの3台体制。RC Fはクラス優勝、C-HRはクラス3位を獲得したが、RCはトランスミッショントラブルで無念のリタイヤと3車3様の結果となった。

 2017年は「人づくり」の原点に立ち返り、メカニックだけでなくエンジニアを鍛えるツールとしても活用。マシンは2015年から挑戦を続けているレクサスRCのみとなったが、マシンは過去2年で培った経験や知見を活かし、パワートレイン、ドライブトレイン、フットワーク、軽量化、空力など車両全体で大きく手が加えられた。決勝はノントラブルで24時間を走り切り、SP3Tクラス2位(総合25位)と結果も残した。

 2018年はマシンをLCへと変更。実は将来市販車への採用を目指す先行開発技術が投入された実験車両でもある。国内テストも順調、ニュル入りしてからの事前テストも予選も順調だったが、決勝ではブレーキ、スローパンクチャ―、ミッション、ECU、エアフロなどトラブルが続出。4時間半以上に渡るピットインを余儀なくされ、結果は振るわず……。

 2019年は前年よりバージョンアップされたLCと17年ぶりに復活を遂げた新型スープラの2台体制。モリゾウ選手(豊田章男社長)のトライバー参戦も話題となった。決勝はほぼノントラブルで24時間を走り切り、SP8クラス3位と結果も残したスープラに対し、LCは万全の体制で挑んだもののまさかのトラブルで悔しい涙を流した。

 2020年はLCの3年目の正直となるか? そして2019年はノーマル+αで挑んだスープラはどのような進化を遂げるのか? 筋書のないドラマはまだまだ続く……。

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