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鈴鹿8耐ファン感涙!車いすのレーサー青木拓磨が22年振りにバイクで走行

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TEXT: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)  PHOTO: 青山義明

青木三兄弟が鈴鹿8耐で果たしたプロジェクト

 7月25日(木)~28日(日)、鈴鹿8時間ロードレース大会第42回大会(以下8耐)が三重県・鈴鹿サーキットで開催された。その決勝レースまえに、練習中の事故で半身不随となった元GPレーサー青木拓磨選手が、22年振りにバイクで走行する“Takuma Rides Again”プロジェクトと題したイベントが行われた。

 このプロジェクトは、青木拓磨選手の兄・青木宣篤、弟・青木治親が「もう一度 拓磨をレーシングバイクに乗せたい」という想いからスタート。8耐に出場するマシンのベースモデルとなるホンダCBR1000RR SP2を拓磨選手が駆り、鈴鹿サーキットの本コースを走るというものだ。

 しかしながら、7月27日は東海地方を襲った台風6号の影響で、鈴鹿周辺の天候も荒れに荒れた。台風は三重県を縦断し、熱帯低気圧に変わりながらも岐阜県へ通過してもなお、鈴鹿サーキットの雨は完全に上がることがなかった。鈴鹿4時間耐久ロードレース、そして予定されていた8耐の練習走行セッションや、トップ10クオリファイの開催もこの大雨の影響を受けた。

 それでも天候は徐々にだが回復していき、グランドスタンド裏に設けられたブリヂストン・ステージで午後5時30分から、そしてコカ・コーラ・ステージでは午後6時からと、青木3兄弟による今回の顛末を披露する2本のトークショーが行われた。

 それぞれのトークショーでは、プロジェクトの経緯を説明。事の発端は、弟の治親選手が障がい者であってもバイクに乗りレースをしていることを知り、企画書を作ったこと。そのよう治親選手の行動に兄の宣篤選手が驚いた話などが語られた。

 拓磨選手も、事前のテスト走行での走りの話や、自分一人ではどうすることもできない「バイクという乗り物」に対して距離を置いていたことなども披露され、さらに、会場にこの3名がやってくることを待っていたファンに対しての感謝もあり、兄弟皆が目を潤ませながらのトークショーとなった。

 トークショーが終わったころには夕日が出て、翌日の好天を予感させるきれいな夕焼けが出現。本当は、この後の8耐前夜祭で鈴鹿東コースを青木拓磨選手が走行する予定だった。

 しかしながら、安全性を考え、走行は中止となり、前夜祭のグランドスタンド前ステージでのトークショーでこの日の拓磨選手の出番は終了となった。 

青木拓磨選手の走行にファンと青木兄弟が涙

 そして迎えた鈴鹿8耐の決勝日となる7月28日(日)。ウォームアップ・セッションが終わった後の午前10時前にスタートしたオープニングイベントに青木3兄弟が登場。

「(拓磨が)鈴鹿に帰ってきたよ~」というMCの言葉に場内からは割れんばかりの拍手が沸き起こる。その拍手に3兄弟は目を潤ませるが、それは観客席にいるファンの涙も誘った。
 そして、拓磨選手が常に使っている24のゼッケンをつけたCBR1000RR SP2のエンジンを掛けると、場内全体が拍手でこれを送り出した。ホームストレートに残った宣篤選手と治親選手は抱き合って涙を流し、観客席のすべてが感動の渦に巻き込まれた。
 走り出した拓磨選手は、その観客席にまずは手を振ってコースを駆けていく。この週に出来上がったばかりの2輪用のヘルメット(現在使用できるヘルメットは4輪用のものしか持っていなかった)、革つなぎに現役時代を彷彿させるバンダナを首に巻いて走る姿は、あの当時を知っている者にとっては本当に涙ものだ。

 予定されていた通り鈴鹿のフルコースを2周半走行し、ピットロードに戻ってきた。待ち構えていた兄弟とともに、ピットウォーク中の多くのファンがすぐに取り囲み、3人は身動きが取れないほどだった。

 走行後、拓磨選手は「最高でした。障がいを負ってからでも、チャレンジすることをあきらめなければ夢は叶うってことを皆さんに伝えていければ」とコメント。拓磨選手の次のチャレンジである、2020年のル・マン24時間レース(フランス)に向けてさらなる努力を重ねていく。

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