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100年以上の歴史を持つ名機 直6エンジンの技術と歴史を振り返る

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田了、TOYOTA、DAIMLER

技術的進化邁進の直6エンジン

 その後、イギリスやアメリカ、あるいはヨーロッパ大陸の国々で、数多くの直6エンジンが誕生。数の増加は激しい競争を生み、結果的に技術が進化。これは古今東西変わることのない原則ですが、そもそもは大排気量化を目指して始まった多気筒化は直列8気筒、あるいはそれを2基組み合わせたV16などというレイアウトのエンジンも誕生させますが、当時の生産技術、鋳造/鍛造や加工の技術ではそれ以上のマルチシリンダー化の実現は難しかったようです。

 その中で何よりも振動が少ないという、理論に裏打ちされていた直6エンジンですので人気は急上昇。Spykerで見られたようなモジュール式とでもいうべきでしょうか、クランクケースの上に2気筒分が1ピースになったシリンダーを3個並べて取り付けたものから、現在のようなクランクケースの上半分とシリンダー6本が一体式のシリンダーブロックに洗練されていきました。

 下記の例に挙げたメルセデス・ベンツとナッシュ、そしてBMW、3メイクスの直6エンジンは、それぞれ1920年代前半、20年代後半、そして30年代前半と数年ずつ基本設計が新しくなっていきますが、エンジンの外観一つとっても著しい進化が見てとれます。

●1928年製メルセデス・ベンツ カブリオーレ600(Mercedes-Benz Cabriolet 600)

 1928年式メルセデス・ベンツのカブリオレ600はフランスの国立自動車博物館、通称“シュリンプ・コレクション”で撮影。

 

192年製ナッシュ・アドバンスド6(Nash Advanced Six 4-Door Coupe)

 29年式ナッシュのアドバンスド6はアメリカ・ウィスコンシン州にあるウィスコンシン自動車博物館で撮影。

 

●1933年製BMW 303(BMW 303)

 そして33年式のBMW 303はクルマを、ロシアのモスクワにあるロマコフ旧車・オートバイ博物館で、エンジン単体はドイツのミュンヘンにあるBMW博物館で撮影。

 

 

直6だったコルベットを横置きしたFWDも

 先ごろ発表された新型のシボレー・コルベットは、駆動レイアウトを、初代モデルから踏襲してきたフロント・エンジンの後輪駆動から、遂にミッドシップに宗旨替えすることになりましたが、エンジンはやはりアメリカ車らしくV8を継承しています。

 そんなコルベットですが、デビューした当初、初代モデルは直6エンジンを搭載していました。

そもそもFRPのボディパネルを採用するなど、最新技術を盛り込んだクルマとして開発されたコルベットでしたが、搭載した直6エンジンは基本設計が1920年代と古臭いもので、パワー的にも物足らなかったようです。そして何度目かのマイナーチェンジでV8が搭載され、やがて直6を捨て、クルマのキャラクターも変わってしまいました。

54年式の初代コルベットは、イリノイ州デケーターにあるシボレー博物館で撮影。

 新機軸と言えば、60年代から70年代にかけて、エンジンを横置きにした前輪駆動が雨後のタケノコのようにどんどん登場してきていました。ただしクルマのサイズには限りがあり、4気筒が限界と考えられていましたが、BMCはオーストラリア市場に向けて6気筒を横置きにマウントした前輪駆動車を投入。

 72年にはイギリス本国向けにもオースチン2200/モーリス2200/ウーズレー・シックスの3兄弟が登場しています。このパッケージは後にボルボも採用しています。

イギリスはウォーウィックシャー州ゲイドンにある英国自動車博物館で撮影。

 

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