間違いやすい「ヴ」と「ボ」の誤表記
人間の思い込みってのは意外に強い。
日本で販売されているクルマの大半は造語を含む英語、またはアルファベットの組み合わせ。会話のなかで使っている限りは気付かないというか目立たないが、文字に起こすと「何か変だぞ?」と違和感を覚える車名がいくつもある。
代表的なモノを勘違いしがちば理由と一緒に挙げていこう。まずは有声唇歯摩擦音(ゆうせい・しんし・まさつおん)といわれる『ヴ』など、バビブベボを”V”で表記するかしないかのケース。ダイハツを代表する軽トールワゴンは、『ムーブ』じゃなく『ムーヴ』であり、トヨタの高級ミニバン『ヴェルファイア』は、『ベルファイヤ』と間違えている人が多い。余談だが『ヴェルファイア』の末尾は「ヤ」でもないので注意しよう。
同じケースに『ヴォクシー』があり、コレもSNSなどでは『ボクシー』の誤記が目立つ。続いて母音を文字で表記するか、長音符号にするかのパターンだ。
特にメジャーなのは『レガシィ』と『レガシー』、また『キャリイ』と『キャリー』や、『エブリイ』と『エブリー』も王道といえる(ともに前者が正解)。なお『レガシィ』は『ィ』が小文字で『キャリイ』や『エブリイ』は大文字。このあたりの使い分けはメーカーによって、何かしらの規定や法則があるのかもしれない。
次はアルファベットの表記というか区切る場所の勘違い。現在のSUVブームを牽引するトヨタ『C-HR』や1990年代の後半に一世を風靡したホンダ『S-MX』は、いずれもハイフン(-)が頭から2番目に入るのが正解であり、『CH-R』や『SM-X』は誤りなので気を付けたい。
ただしハイブリッドのスポーツモデル『CR-Z』のように、ハイフンが3番目となる車名もあるので余計にややこしい(GT-Rのようにコチラのほうが慣れた感はある)。
もうひとつはホンダのオープンスポーツ『S660』に代表される、読み方そのものを間違えているケース。公式名称は『エスロクロクマル』であり、『エスロッピャクロクジュウ』ではない。かつてホンダが生産していた『S800』が、『エスハッピャク』だったのを勘違いして誘発しているのが一因かも。
最後は正確にいうと車名じゃないけど、メルセデス・ベンツのサブブランドとして有名は『AMG』について。現在では『エーエムジー』という呼び方がすっかり定着したものの、以前のおっさん世代は『アーマーゲー』と呼ぶ人が多かった。
ドイツ語の発音なら正しいと感じるかもしれないけど、ドイツ語でも”M”の読みは『エム』であり『マー』という。一説によると某マンガの登場人物が、作中で『AMG』を『アーマーゲー』と呼んだのが発端とも言われている。他にも紛らわしい車名は色々とあるので、クルマ好きを自認するなら正しい名称を覚えておきたいものです。