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SUBARU車を鍛える聖地、ニュルブルクリンク24時間レースへの挑戦と功績

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TEXT: 山本シンヤ(YAMAMOTO Shinya)  PHOTO: Auto Messe Web編集部・増田貴広、SUBARU STI

ニュル初のリタイアを経験

 3代目インプレッサWRX STI(GVB型)からWRX STI(VAB型)に変更された2014年。デビューウインも期待されたものの、ニュルはそう簡単には微笑まず……。他車との接触やそれが原因のメカニカルトラブル、そしてペナルティなどでクラス4位という悔しい結果となる。

 2015年は前年の反省を元に、大きくバージョンアップされたマシンは予選クラス1位、決勝はスタートから一度も首位の座を明け渡すことなくクラス優勝を獲得。総合では18位となり、上位マシンは全てSP9 GT3マシンであることを考えると驚異的と言っていい結果だった。

 2016年もクラス優勝で2連覇を獲得したが、2015年以上に記憶に残るレースに。序盤の激しい雷雨でコースアウトが続出したが、そのスティントを担当していたカルロ・ヴァンダム選手は危機一髪でクラッシュを回避。

 ファンの間では「カルロの神回避」と呼ばれ、インプレッサの持つAWDの優位性を強くアピールしたことは語り継がれてゆくことになる。

 三連覇が掛かった2017年は、スタートから14時間半で同クラスの車両が側面に激しくヒット。懸命の応急修理でコースに復帰させたものの、クラッシュの影響からエンジンルームから突然出火、ニュル24時間挑戦で初のリタイヤを経験した年となった。

 そして昨年の2018年。王座奪回が目標となったが、決勝は予選で起きたパワステトラブルの再発、音量規制対策による緊急ピットイン、更にエンジントラブルでコース上にストップ。懸命のトラブルシュートでチェッカー20分前にコース復帰し、クラス優勝を獲得したものの反省が多いレース展開となった。

 「クラス優勝だけでなく総合順位にもこだわる」と言う目標を掲げた2019年、予選はあと僅かで9分切りと言う9分1秒872でポールポジションを獲得する。

 

 決勝は2015年以来のノートラブル、ノーミスで一度も首位の座を明け渡すことなく完全勝利。総合は2015年に僅かに及ばず19位だが、総周回数145周は歴代最多となった。

 辰己総監督は「今年の決勝は一度も雨が降らず。AWDはウエットではなくドライでも速いことが証明できた」と語った。

 2020年はどうなるのか? STIがニュル24時間に参戦する理由は「量産車の技術のレースで証明するため」である。ちなみにベースとなるWRX STIが間もなく世代交代のタイミング……早くも来年が楽しみだ。

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