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レーシングドライバーに聞く! 真夏のサーキット走行で使える熱中症対策

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: クラゴン/Auto Messe Web編集部

助手席側の窓を10センチほど開けエアコンON

 サーキット走行において、たとえ真夏でも長袖・長ズボン・グローブ・ヘルメットの着用は必須。しかも転倒時に腕などを怪我しないよう、運転席側の窓をきちんと閉めておくのもマストだ。これらは安全上のルールなので、必ず守らなければならないわけだが、このスタイルで真夏にサーキットを走るのは正直つらい……。一歩間違えると熱中症になる可能性もあるが、何かいい手はないのだろうか。

 まずは、運転席以外の窓を開けること。上記のように運転席の窓は安全上の理由で開けられないが、助手席や後部座席の窓を開けるのはOK。4ドアならば、助手席側の窓を10センチほど開け、その対角の後席右側の窓を5センチほど開けると、空気の圧力差で、一番効率よく熱気を排出できる。

 また、エアコンを使わずに「送風」だけの状態でファンを回し、外気を導入するのも好例。他にも市販のネッククーラーを首に巻いたり、汗を吸ったときに肌にピタッとくっつかないドライ系の下着もオススメしたい。綿のTシャツなどは濡れると肌にくっつくので、皮膚呼吸がしづらくなってバテやすい。もっとも、クルマに乗る前に十分な水分を補給しておくことも肝心だ。

では、もっと実戦的な熱中症対策はないのだろうか。

 2019年のニュルブルクリンク24時間レースに、ドイツのCARE FOR CLIMATE / TEAM FOUR MOTORSチームから、ポルシェケイマンGT4 バイオコンセプトで参戦し、ドラテク鍛錬場「クラゴン部屋」を主宰するプロドライバーのクラゴン選手(2018年のニュルVLNでクラス優勝)に聞いてみた。

「よく言われることですが、熱中症を防ぐには小まめな水分補給と、塩分の補給が大切。そして、しっかりと食事をとること。食事には適度に塩分が含まれているので、朝食あるいは昼食を摂ることで、水分だけでなく塩分も補給することができるからです」。

「あとは、本当に暑いときは、クルマのエアコンを使うこと。今年のニュル24時間を戦ったポルシェケイマンGT4には、レーシングカーなのにエアコンがついていて、チームからも『暑いときはエアコンを使ってくれ』と言われていました。実際、決勝はエアコンを入れて走っていましたし、昼はともかく夜間は冷えすぎるぐらい効きました(強弱は二段階調整のみ)」。

 こうしたニュル24時間レースの車両だけでなく、ル・マン24時間レースに出場する車両などにも近年エアコン装着車は増えているし、日本のスーパーGTでは年間を通じエアコンの装着を義務づけている。スーパーGTのマシンのエアコンは、シートやヘルメットに冷気を送り込むタイプで、エンジンパワーロスが少ない効率的なエアコンがされている。

 エンジンが高負荷・高回転のときにエアコンを入れると、エアコンのコンプレッサーが壊れるのでは? と思うかもしれないが、オートエアコンはもともと温度調節をするために、一般道でも高速道路でも自動的にエアコンのON/OFFを繰り返している。

 そのONとOFFの切り替えはエアコンのコンプレッサーの電磁クラッチが行なっていて、そのクラッチがトルクを緩衝する役割も担っているので、コンプレッサーへのストレスは大きくない。エンジンの許容回転数の範囲で使用する限り、基本的に大きな問題はないといえるだろう。

 当然、エアコンを入れた場合、エンジンのパワーロスは生じるが、炎天下のクルマの車内は40~50度近くにもなる。暑さでドライバーの集中力が途切れたり、意識が朦朧とするようなリスクを考えれば、エアコンを入れてサーキットを走るというのも確かにありだ。

 どうせ真夏はタイムを計っても好タイムは期待できないので、夏場はタイムアタックではなく、スキルアップのための練習なんだと割り切って、タブーとされていたサーキットでのエアコン使用を考えてみてもいいのではないだろうか。

【詳しくはこちら】
取材協力:クラゴン
https://twitter.com/kuragonOYAKATA?s=17

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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