No.87 T-DASH ランボルギーニ GT3が後半戦トップで折り返し
一方のGT300ウィナー、87号車の場合の“運”は、奇策がズバリ的中したこと。39周目に最初のピットインを行ない、クートから藤波に交替、ピットアウトすると翌40周目に再度ピットインして藤波から高橋に交替した。これでピットイン義務を2回消化すると同時に、多くのライバルがひしめきあう渋滞個所を避けて走ることになり、彼ら本来のペースで周回を重ねることができたのだ。
もっとも、彼ら本来のペースは決してライバルを上回るものではなく、No.25 HOPPY 86 MCの松井孝允がマークしたレースのベストラップに比べると1秒以上も遅いタイム。しかし、3人が揃って1分40秒台前半でタイムを刻んでおり、これが13番手からの逆転に繋がった。
奇策と言えば、GT300クラスの優勝候補だったNo.25 HOPPY 86 MCも、タイヤを左サイドの2本交換という奇策に出たのもひとつ。チームに確認はできてないが、ポールからスタートした52号車がソフト目のタイヤでスタートしたことで判断したのかもしれないが、52号車は最初のスティントでもタイヤ無交換。最後の3スティントを何と1セットで走りきるという離れ業も見せている。
これにはブリヂストンタイヤのパフォーマンスも見逃せないが25号車の敗因は、何よりもハプニングが多すぎたことだろう。他車と絡むアクシデントも多く、最終的にもコースアウトさせられてしまいレースを終えている。
予期せぬアクシデントも優勝にはたどり着けない要件だが、ミスのない勝負を続けアクシデントを避けてゆくしかない。38号車のアクシデントではリプレイのスロー映像では外れて転がるホイールナットが確認できている。勝利に向け厳しいながらも要因究明を極めてゆくばかりだろう。
奇策がピタリとはまる“運”ももちろん必要なのだが、勝つための前提としては、言い古されたことだが『チームとドライバーがマシンをミスなく速く走らせることが必須』ということ。その大原則を、改めて思い知らされたSUPER GT第5戦の富士500マイル。本当に意義深い1戦だった。