タイヤ開発の原点となる条件が揃っている
アメリカで人気のレース「ナスカー」。ここにタイヤを供給するのがグッドイヤーだ。1レースウィークには、3000本のタイヤをサーキットに持ち込んでいる。テレビとかへの露出もあることから、マーケティング、そしてブランディングのためというのが大きな目的の一つだ。しかし、その原点は、自社が持っている技術力をアピールするというところだという。
ナスカーへのタイヤ提供には、技術的観点から新製品の開発に役立つところが多い。とくに市販のトラック用タイヤや飛行機用タイヤにはレースタイヤに似たものがあって、ナスカーで培った技術はそういったところにも応用できるという側面もある。具体的には、レースでは走行中にタイヤの温度は上昇し、カーブで掛かる横Gもすごい。車体の下面に発生する熱は、市販車のそれとはレベルが違う。
だから「このナスカーというレースの現場が自分たちの技術力を証明できる場所になっている」とモータースポーツ最高責任者グレッグ・スタッカー氏は語る。
「もちろんF1にしろインディカーにしろ、それなりにスピードもあるしダウンフォースもある。けれども車体が絶対的に軽い。それに比べナスカーは、車体はかなり重い。さらにダウンフォースが強くなってきている。それなのにタイヤはナロー(細い)。4本のタイヤへの負荷はすごく、それだけ開発は難しくなっています。それは我々にとってチャレンジングな開発。同じマイルのコースでも全部性質が異なっていて、ちょっとずつパッケージが違う」と語る。近々新たなナスカー用タイヤが発表される。その内容にも注目したい。