燃費改善のために電気始動を使う
ドライブ・バイ・ワイヤーとは、アクセルペダルの踏み込み量を電気信号に転換し、その信号を受け取ったスロットル側が独自に燃料や電流調整をする仕組み。したがってアクセルペダルとスロットルは、直接つながってはいない。ここでいうワイヤーとは電線を意味し、電線を通した信号によって、アクセル操作をスロットルへ伝える仕組みを指す。
なぜ、運転者が操作するアクセルペダルの動きを直接スロットルへ伝えず、電気信号を使ってコンピュータが制御するかというと、一つは燃費改善のため。どのようなアクセルペダルの操作をしても、ある程度の燃費性能を誰でも出せるよう、ペダル操作の様子や速度など運転状況からコンピュータが必要とされる燃料しか供給しないようにしている。
また、アクセル・バイ・ワイヤーであることにより、ペダルの誤操作が行なわれた際に、運転者はアクセルペダルを床まで踏みつけていても、センサーが障害物を認識していると燃料供給を抑え、衝突を抑止することができるのも、ペダル操作が直接スロットルとつながっていないからだ。
それでも急発進が気掛かりという人は、モード設定があり、ECOモードを選択すればEVの発進は穏やかになる。実際、ECOモードを常用する人もいる。
以上のように、今日のクルマではアクセルペダルとスロットルは直接つながっておらず、状況に応じでどれくらい加速させるかがコンピュータで制御されている。したがって、急発進や暴走による事故が、エンジンかモーターかで優劣を語るのは見当違いだ。
あらゆる技術には長所と短所があり、そこを十分理解したうえで最良のクルマを開発するのが技術者の仕事であり、そもそも、ガソリンのような危険な燃料を自分で給油し、車載し、安全に使えるようにしてきたのは、技術者たちによる開発努力の結晶によるものだ。同じことは、モーターについてもいえるのである。
動力の方式や特徴の違いによる長所短所をもって優劣を指し示し、事故原因を議論することは不毛だ。