急発進防止装置の装着は8割近くが未装着
近年多くなってきている、ブレーキペダルの踏み間違いによる交通事故。そのほとんどがAT車で起きており、踏み違え事故を起こす割合に高齢ドライバーが多いことも知られている。
そんななかで、東京都が「高齢者安全運転支援装置設置促進事業補助金」に関する調査を実施。東京都が緊急対策として2019年7月31日より開始した同制度は、東京都内在住の70歳以上の高齢運転者を対象に、アクセルとブレーキの踏み間違いなどによる急加速抑制装置(安全運転支援装置)の取り付けに補助金が受けられるというもの。通常では装置の装着に4〜8万円ほどかかるが、補助金を利用すれば約1割負担で装着が可能となる。
また、「アクセルとブレーキを踏み間違えてヒヤリとした経験があるか」を聞いたところ、1割以上の人は「経験あり」と回答。年代別に見ると、40代以下の男性は41.7%の人が「経験あり」と回答しているが、70代の男性は7.2%、80歳以上男性は12.3%と高齢者の数値が低い結果となった。この結果は、事故が起きたときに本人の意識では”ペダルの踏み間違いがない”という報道もあるように、もしかすると本人には本当にその意識がないのでは?と思えてしまう内容だ(そもそも踏み間違いを認識していない)。
さらに「急加速抑制装置の装着費用の補助制度が7月末よりスタートしたことを知っているか」の質問に対しては、全体でみると62.9%の人は「知っている」と答えたものの、高齢女性の認知度はやや低くなり、70代女性で37.1%、80歳以上では43.8%の人が「知らなかった」と回答している。
最後に急発進防止装置について調査。「自動車メーカーの急発進防止装置が付いているクルマを持っている」と答えた人は17.2%。「東京都の補助金利用を利用した、もしくは後付け装着した」はわずか5%と、なんと8割近くの人は「何も付けていない」と回答。急発進防止装置が付いていない人の6割近くは、この補助金の存在を知ることになり、今後「東京都高齢者安全運転支援装置設置促進事業補助金」を利用したいと回答している。
そもそも、AT車のブレーキペダルの踏み間違いによる交通事故は、高齢者ドライバーだけに多く発生することではなく、AT車を運転するドライバーならば誰もが起こす可能性はある。この機会に高齢者のみならず、他のドライバーのクルマにも急発進防止装置の取り付けが広まり、ブレーキペダルの踏み間違いによる交通事故が、少しでも減ってくれればと切に願う。装置や制度について認知度が高まるだけでなく、他の自治体での補助金制度の導入に期待したいところだ。