独創性とボディ保護が目的ならばラッピング
旧車のレストアだけでなく、愛車のイメージを激変させるカスタマイズとして、昔から高い人気を誇る「全塗装(オールペン)」。しかし、近年では印刷技術や素材の進化により、「ラッピング」という手段もメジャーになってきた。両者にはどんなメリットとデメリットがあるのか、自由度や価格といった面から考察してみたい。
全塗装は読んで字のごとく、自動車用の塗料を使ってペイントする従来の方法。対してラッピングはカッティングシートをボディに貼るという手法だ。まずはカラーやデザインの自由度から考えてみよう。
全塗装は純正色だけじゃなく塗料と塗料を混ぜて調色したり、パールやラメなどを配合することで、世界にひとつだけの”色”を作り出すことが可能。角度によって違う色に見える『マジョーラ』、熱に反応して色が変わる『ハルク』など、ドレスアップに特化した塗料も存在する。
一方、ラッピング用のカッティングシートも色の深みや光沢感では全塗装に分があるものの、柄のパターンやカラーバリエーションは豊富。カッティングシートはそれ自体に印刷ができるため、イラストなどを描きたい場合などの自由度が高く、手間やコストを抑えられ有利といえる。もちろんイラストなどはエアブラシを使えば塗装でも可能だが、仕上がりのクオリティは作業者の技量に左右されるだろう。
続いて作業時間と費用について。全塗装は最初にモールやエンブレムを外し、窓や車内に塗料が飛ばないようマスキングし、ボディ表面をキレイにする下地処理が必要で、塗装も1回だけ吹いて終わりじゃない。色にもよるが何度か重ね塗りする必要があり、クリア剤で仕上げて磨き上げるなど、当然ながら工程が増えれば増えるほど費用は上がっていく。全塗装ともなれば軽自動車クラスで20万円〜が相場といえるだろう。
ラッピングは塗装に比べれば下地処理といった事前準備が少なく、工賃は比較的リーズナブルなうえ差も出にくい。ただし、ボディ全体に施工するフルラッピングともなれば20万円以上の覚悟は必要。オリジナルならばデザイン料などが別に必要となり、全塗装とコスト面で変わらないことも十分にあり得る。