最低速度の適用が解除される状況もある
道交法の最低速度には適用が除外される条件があります。それは『速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合』というもの。具体的には、”渋滞”、”危険回避のための減速・徐行・停止”、”工事・荒天”など、速度を出せなかったり、警察の指示といった状況による場合です。つまり、最低速度を遵守しようにもできない場合は適用除外となるのです。
もし高速走行時に前方に危険を発見し、あるいは渋滞の最後尾で最低速度域まで減速しなければならないときは、ハザードランプを点灯させるなど後続車に知らせて追突事故を防止したいものです。ハザード点灯は道交法で定められたものではありませんが、高速道路上での点灯は危険を後方に知らせる合図として広く認識されており、NEXCOや警察も積極的な使用を推奨しています。
安全のために流れを乱さない運転を
高速走行における安全リスクは速度差が高まるほど増大します。100キロで走行する高速道路上では、たとえ法の範囲内の最低速度50キロであっても追突の危険がありますから、最低限度のルールだと考えたいもの。高速道路の最高速度引き上げでは大型貨物の速度は80キロで据え置かれていますので、120キロ規制の場合は普通車との速度差は40キロ。このことからも、最低速度以上であっても交通の流れを乱す低速走行はたいへん危険性の高い行為であると認識すべきです。煽り運転で後続車を減速・停車させるなどは他者の生命を奪うリスクの高い、危険極まりないもってのほかの行為です。
高速道路に限らず一般道でも自動車は速度差の少ない一定の速度で流れることが安全で速い円滑な交通を生み出します。最低速度、最高速度、速度規制といった交通ルールは、クルマと道路を利用する私たち全員の安全と利便性を考えて作られたもの。自分だけの身勝手なルール解釈で逸脱してよいものではありません。 特に運動エネルギーの高い高速走行時はひとつ間違えば重大事故につながります。周囲をよく観察し、流れに乗ったスマートな運転を心がけたいものです。