多くのマシンを世にリリースしていった
ここではピエヒさんがポルシェ在籍中に手掛けたレーシングカーとVWのための試作車。そしてアウディに移籍した後、技術担当重役として開発を指揮し直列5気筒エンジンやクワトロ・システムに関連した市販車とラリーカーなど、関わっておられたマシンを少し振り返りましょう。
#33のシルバーの個体は63年式の904。
ノーズをグリーンに塗った個体は67年式の6気筒バージョンである910/6。
4本のテンションロッドで宙づりになっているのは67年式910/6のFRP製ボディ。
#64は69年式の908LH。
#266は69年式の908/02 Spyder。
#40は70年式の908/03 Spyder。
Gulfカラーの#2は70年式の917。
Martiniカラーの#21は71年式の917LH。
ピンクに塗られた#23は71年式の917/20。
薄い紺色に黄色のストライプが映えるSUNOCOカラーは73年式の917/30 Spyder。
67年式910/6は2015年のレトロ・モビルで、70年式の917はスパ-フランコルシャン・サーキット博物館で、その他は総てポルシェ博物館で撮影。
レーシングカーだけでなく、市販乗用車の開発でもピエヒさんの大きな業績が残されています。その代表的なものがVWから委託されたタイプ1、通称“ビートル”の後継として企画された試作車です。
EA266のコードネームを持つこの試作車は、1.6リッター水冷の直列4気筒エンジンをミッドシップ…正確にはリアシートの下に寝かせて搭載し、後輪を駆動するというパッケージが最大の特徴でした。フロントからミッドシップに移動させたことで、フロントノーズ部分をトランクに設えて耐衝突の安全性を確保すると同時に、重量物をホイールベース内に集めたことでハンドリングも素晴らしかった、と言われています。
ただし、VWのトップからはコストが高く、また整備製にも問題があるとして開発中止の決定が下されたようです。この試作車はVWが自社製品を収納展示する博物館をオープンしたのを機に一般公開されていました。
写真はVWがウォルフスブルクにオープンしたもう一つの自動車博物館であり同時に自動車のテーマパークの趣もあるアウトシュタットで2009年9月に撮影したものです。