被害者救出の可能性を高めるシステム
日産・新型デイズの「SOSコール」やマツダ3の「マツダエマージェンシーコール」に採用されたことに加え、悪質なあおり運転事件が相次いでいることもあり、昨今再び注目を集めているのが、日本緊急通報サービスが提供する事故自動通報システム(ACN)「ヘルプネット」だ。
「ヘルプネット」とは本来、エアバッグが展開するような事故が発生した場合、その場所・時間・車両のデータを専門のオペレーターへ自動送信するとともに電話で通話。その後必要に応じてオペレーターが警察や消防署に通報、データ送信することで、救急車やパトカーがいち早く事故現場に駆けつけて被害者救出の可能性を高めるシステムとなっている。
なお、ヘルプネット搭載車には専用のボタンが備えられており、急病で運転できなくなった際や車両が故障してしまった場合、あるいは事故後にエアバッグが展開しなかった時などでも、手動で通報することが可能だ。
そして、新型日産デイズの「SOSコール」やマツダ3の「マツダエマージェンシーコール」が採用するのは、従来のヘルプネットよりもさらに進化し、必要に応じてドクターヘリを派遣する「D-Call Net」にも対応した「先進事故自動通報システム(AACN)」となっている。
AACNでは自動通報の際、事故発生場所・時間・車両のデータに加え、衝撃の入力方向や衝突時の速度変化、シートベルトの着用有無、多重衝突の有無といったデータも送信できる。
これらを元に乗員の重症度を推定し、そのデータを消防署やドクターヘリ基地病院に送信することで、より迅速にドクターカーやドクターヘリの必要性を判断。医師や看護師が現場に駆けつけ、被害者救出の可能性を一段と高めることが可能になった。
このように、警察や消防署の指令台に直接つながるシステムが構築されているため、ヘルプネットはあおり運転への対応にも活用できる、というのが大きなポイント。
後続車にあおられたら、手動通報ボタンを押してオペレーターと通話し、警察への通報を依頼。パトカーが待機している場所まで誘導してもらいながら、あおり運転をしてきたクルマを検挙してもらう、といった使い方もできるのだ。これはヘルプネットも公式サイト「お役立ちの事例」として掲げており、積極的な活用を促している。
こうしたシステムを活用する動きは、損害保険会社の間でも広がっている。
例えば東京海上日動火災保険は「ドライブエージェント パーソナル」、損害保険ジャパン日本興亜は「ドライビング!」または「ポータブル スマイリングロード」、あいおいニッセイ同和損害保険は「タフ・見守るクルマの保険」、三井住友海上火災保険は「GK見守るクルマの保険」として、ドライブレコーダーやスマートフォンによる事故緊急自動通報サービスを付与した自動車保険を展開。
さらにあいおいニッセイ同和損害保険は、トヨタのコネクティッドカーを対象とした「タフ・つながるクルマの保険」にも、安否確認コールや情報共有メール送信などを事故発生時に行うサービスを付帯している。
運転中に事故や事件、急病が発生した際、怪我や病状が重ければもちろん、事故・事件によるパニックだけでも、的確に対処できなくなることは少なくない。だからこそ、こうした事故自動通報システムを「転ばぬ先の杖」として備えておくことは、大きな安心につながるはずだ。
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