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カーナンバー“1“はチャンピオンの証! レースカーのゼッケンに秘められた意味とは

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 成瀬陽介、遠藤樹弥、原田了、NISMO、JRP

ゼッケンを知るとレースをより楽しめる

 レースに参加しているマシンにはゼッケンと呼ばれる競技車両番号が表示されています。競技を運営する上で各マシンの情報、エントリー状況、車検、予選ラップタイム、決勝レース展開などを把握、整理するために重要なもの。そればかりではなく、観客にとってもチームやドライバーを識別する大切な指標となります。ゼッケンは単なる数字ではありますが、野球、サッカーでも意味があったりするように、モータースポーツ界でも数字に意味が含まれるケースもあるのです。

 

レース界には固定のゼッケンがある

 まず、ラリーでは出走順を示すことから、チームやドライバーに固定のゼッケンはありませんが、レースでは一般的にチームやドライバーごとに固定のゼッケンが使用されています。例えば、日本代表するSUPAER GTでは、ゼッケン1番は前年度のチャンピオンが使用。2019年は昨年度のGT500チャンピオンであるTEAM KUNIMITSUがゼッケン1番を使用しています。彼らのチームには持ち番号として100番があるのですが、今年は“欠番”となっているわけです。

 また、昨年度のGT300チャンピオンであるK2 R&D LEON RACINGは、同クラスのチャンピオンナンバーのゼッケン0番を使用することもできたのですが、持ち番号である65番を今年も使用しています。

 

スポンサーフォローのゼッケンも

 次にスーパーフォーミュラでは、昨年のチャンピオンである山本尚貴選手がチームを移籍。今シーズンは、チャンピオンドライバーとチャンピオンチームが異なる“ネジレ”が生じています。

 この場合にはドライバーに優先使用権があり、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGから参戦する山本選手はゼッケン1番を使用。チャンピオンチームのTEAM MUGENは、昨年通り16番を継承して使用しています。

 またホンダ系は、TEAM MUGENはグループAの頃からゼッケン16番を使用しており、これが同チームのエースナンバーとして定着しています。さらに以前は40番と41番を使用していたDOCOMO TEAM DANDELION RACINGは、昨年から5番と6番(先に触れたように今シーズンは1番と5番)を使用しているのです。

 理由は、タイトルスポンサーであるDOCOMOが2020年のサービス提供開始を目指して研究開発に取り組んでいる第5世代移動通信システム“5G”に因んでの変更。このように色々な事情が複雑に絡んでいるのです。

 

NISSANの23番 トヨタ系の36、38、39番

 ワークスチームの固有の番号には、ネジレのあるものが少なくありません。例えば、SUPER GTのGT500クラスに参戦するNISMOは、チャンピオンを獲得した翌年に1番を使用する以外は23番を使用しています。

 これは1980年代にグループCやグループAレースのときから続いているのですが、そもそもは”23=日産”のごろ合わせからきたもの。いまや、紛れもない日産陣営のエースナンバーとなっています。

 また、SUPER GTで日産のライバルとなっているトヨタですが、こちらもトムス勢は36番、セルモは38番、サードは39番とチーム固有のナンバーが決まっています。

 各チームそれぞれに固有ナンバーを決めたエピソードもあるようですが、衝撃だったのがトムスのケース。随分前の話になりますが、当時はまだ若かった舘 信秀会長が「3と6ならカブで勝てるから」と仰っていたことを思い出しました。舘会長ならではの取材者へのリップサービスだったのかもしれません…。

 そして、25番というゼッケンは、ヨコハマ・タイヤを使用するチームに“愛用”されてきました。24〜26番までがヨコハマ・タイヤを履く固有のナンバーでしたが、25番については”つちやエンジニアリング”のナンバーでした。代表者の土屋春雄さんを筆頭に、鈴木恵一さんや土屋圭一さんらが加わった職人気質の老舗チームでしたが、一時活動を休止。

 その後、春雄さんの後を継いだ息子の土屋武士さんによって活動再開となって現在に至るのですが、印象的だったのは復活した際の武士さんの台詞。「このまま(レース活動を)再開しなければウチの番号が誰かに使われてしまう。そんな危機感がありました」。

 そう、我々取材者にとってはヨコハマ・タイヤ系チームに固有の番号だったのですが、幼いころからゼッケン25番に慣れ親しんできた土屋武士さんにとっては“我が家”な番号だったのです。

 ちなみに単に数字ということからですが、レース界ではコンピュータでタイミングデータを処理するようになってからしばらくは、コンピュータの演算容量の関係から、ゼッケンは0番(あるいは00番)から99番までの2ケタに制限されていましたが、今では3桁のゼッケンもOKとなっています。

 例えばSUPER GTの場合、チャンピオン以外のチームは2番から999番までの好きなゼッケンを選べますが、前年に使用していたチームに同じナンバーを使用できる優先権が与えられています。いずれにしてもチームやドライバーと関わり深いゼッケンナンバー。これを覚えておくと、レース観戦が少し楽しくなることは間違いありませんね。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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