少しの配慮でクルマの流れが円滑になる
この夏もお盆や週末のたびに多くの人がドライブに出かけた。行楽シーズンになると運転に慣れていないサンデードライバーも多く、休日や休暇期間中ほど迷惑な運転をする方を見かける。今回は、そんな気になるドライバーの実例と改善方法を考えてみたい。
追い越し車線をマイペースで走る
高速道路の走行車線を走行中に前走車に追いついたら、追い越し車線を使ってあのクルマの前方に出て、速やかに走行車線に戻る。これが交通ルールの基本。このときに、走行車線を走っていたときと同じ速度のまま追い越し車線に出てくるケースが多い。
追い越し車線側の後方に、まったくクルマがいない状況ならば問題なしといえなくもないが、追越しは、進路を変えて“加速したうえで”再び進路を戻すというのが大前提(免許の更新時にもらうテキスト『みんなを守る安全運転』参照)。
自分が等速で走り続けたいからといって、加速せずに追い越し車線に出ていくと、より速いペースで走ってきた追い越し車線上の後続車を減速させることにもつながる。
これは迷惑なだけでなく、危険でもあり、また「あおり運転」の被害に遭う確率も高まるので、追い抜き車線を使って前走車を抜くときは、しっかり加速し、速やかに追越し、速やかに元の走行車線に戻ること。そもそも追い越し車線を走り続けるのは、交通違反でもある。
上り坂でまわりのペースに乗れない
高速道路で大渋滞が起きるのは事故や工事でもなければ、自然渋滞と呼ばれるもの。これは自然でもなんでもなく、サグ部と呼ばれる谷の部分や緩い上り坂が続く部分での速度低下が主な原因。
NEXCOでも、そうした渋滞発生ポイントには「ここから上り坂 速度低下に注意」という看板や横断幕を出しているが、要は坂道になっても平地とアクセルペダルを踏む量が変わらないドライバーが少なからずいるから、この手の渋滞が発生する。
その時間的損失は膨大だし、無駄に消費する燃料も増えるのでエコにも反する。対策は上り坂になったら、アクセルを数%でいいので踏み足すこと。NEXCOも「速度低下に注意」という表現ではなく、「ここは上り坂。アクセルを踏み足してください」ともっとダイレクトな表記で、ドライバーに訴えるべきだろう。
また最近はクルーズコントロールを標準装備しているクルマも多いので、一定の速度に設定してクルマに任せるというのも1つの手である。
ウインカーを出すのが遅い
他人の運転が気にならないのか、自分中心の考え方なのか、とにかくウインカーを出すのが遅い人、あるいは出さない人が増えている。
ウインカーはドライバー同士の大事なコミュニケーションツール。進路を変えたり、右左折をする際は、そのためのブレーキを踏む前にウインカーを出すこと。
交差点で右左折するときは30m手前から、車線変更は3秒前からウインカーを出すという基本ルールを思い出してほしい。
合流車線があるのに早めに合流しようとする
一般道でも高速道路でも合流ポイントは渋滞が発生しやすい箇所。この合流ポイントでの渋滞を減らすには、合流車線を端から端まで使い切って、しっかり加速してから合流するのが有効。これは本線側の流れが速いときも遅いときも同じ。とくに本線側が渋滞気味のときほど、合流するクルマは合流車線の先端まで進んでから合流することが大事。その方が限りあるスペースを有効に使え、結果として渋滞の影響を少なくできる。
ライト点灯が遅く、スモールランプで走る
北欧をはじめとするヨーロッパ各国やカナダなどで義務化されているデイライト(デイタイムランニングライト)。日中でもデイライトを点けることで視認性が高まり、安全性向上の効果が確認されている。日本ではデイライトの義務化の動きはないが、日没時から日出時まではヘッドライトを点灯することが義務づけられている。
にもかかわらず、暗くなっても、雨で視界が悪くても、ライトを点けなかったり、スモールランプだけで走っているクルマはまだまだ多い。
ヘッドライトを点けたとしても電気代はかからないし、燃費にはほとんど影響しないのだから、荒天時や日没30分前にはヘッドライトを点けて、存在感を増すようにしたい。極端にいえば、将来のデイライト義務化を見越して、「ライト“常灯”」でもいいぐらいだ。